これはピアノ好きによる戯言レビューです。

「ピアニストと刑事」。その題名の時点で、ピアノ好きの私はとても興味を惹かれて読み始めてしまった。しかも字数は五千字と少し。軽い気持ちで読むには丁度良かった。

 読み終わった感想としては、「素晴らしい」一択だった。
 こんな短い話で、鮮やかな伏線回収、心情描写、ミステリ素人(私のことである)でもわかりやすいトリック。
 読み終わった後に、他の人が書いたレビューを読んだのだが、その人の書いたことにとても納得した。彼の人生は、コンサートのようだ。その言葉がとても腑に落ちた。

 個人的に、「一年前の会話の中の一言で殺人に発展することもある」、という刑事の発言が犯人の動機に回収されていたところが好きだった。何故被害者が犯人の演奏を侮辱してしまったのか、普段お酒を飲まないということで、酒の勢いで、ということはないはずだが……というところが、個人的に気になった。
 私の予想としては、成功した犯人の才能に嫉妬したのか……という風に思ったが、それももはや闇の中だ。

 もうピアノに触る気はない、という最後の一文があったが、私としては、そこまで人の心に響く音楽が生み出せるなら、反省後に再びピアノに触れてほしいと、思わざるを得なかった。ピアノ、何より、音楽好きとして。