静寂な文章で紡ぐ熱い友情と時代の荒波

神とて決して人の願いを何でも叶えてくれるような都合の良い霊的存在ではない。ここでははっきりと、人々と同じように「生きる」神々の姿が描かれていました。

繁栄と没落の動乱、そこからの淡い再生、また出会いによって育まれる友情が、短い物語の静寂な文章表現によって色鮮やかに語られています。そして、移ろい行く時代の中で生きる神と人とが織りなす壮大なスケールは、永遠などない諸行無常の世の中を思わせ多少の虚しさが余韻として残るような気がしました。

それでもラストは、こんな世の中でも捨てたもんじゃねェナと気づかせてくれるような、希望と感動に溢れるものとなっています。

困った時の神頼みタイプな方、中華モチーフ独特の風を感じながら一味違った二つの世界の傑作ストーリーを楽しんでみては👐

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