神である敖丙(ごうりょう)はある日、傷を負った人の子を助けてしまう。神は人に干渉してはいけないという世界で、敖丙のとった行動は天理に逆らうものだった。しかし、一度人と関わってしまった敖丙は、その後、人の子と親しい関係となり……。
最初はぎくしゃくとしていましたが、しだいに仲良くなっていく二人の関係が微笑ましかったです。人間と関わり、少しずつ自分の世界が広がっていく敖丙の姿が、なんとも楽しそうでした。
物語は凝られた設定の中に、親しみやすい二人の登場人物が中心となって進み、読みやすいです。特に後半からは驚きの展開となっていて、読者からさまざまな感情を引き出してくれます。
中華系ファンタジー小説ですが、中華好きな方はもちろん、私のような中華系をあまり知らない人でも楽しく読むことができる作品です!
神とて決して人の願いを何でも叶えてくれるような都合の良い霊的存在ではない。ここでははっきりと、人々と同じように「生きる」神々の姿が描かれていました。
繁栄と没落の動乱、そこからの淡い再生、また出会いによって育まれる友情が、短い物語の静寂な文章表現によって色鮮やかに語られています。そして、移ろい行く時代の中で生きる神と人とが織りなす壮大なスケールは、永遠などない諸行無常の世の中を思わせ多少の虚しさが余韻として残るような気がしました。
それでもラストは、こんな世の中でも捨てたもんじゃねェナと気づかせてくれるような、希望と感動に溢れるものとなっています。
困った時の神頼みタイプな方、中華モチーフ独特の風を感じながら一味違った二つの世界の傑作ストーリーを楽しんでみては👐
最近ハマったばかりのにわか仙侠小説ファンです。
仙侠小説が読みたくて、色々探してましたが、なかなか見つけられなくて本場中国の小説サイトで自動翻訳をしてでも読むくらい始終、仙侠小説に飢えてます。
そんなわけで、私の欲しかった仙侠モノの要素がふんだんに盛り込まれたこの作品を読めて、めちゃ感激です!
カクヨムで、こういった作品に出会えるとは!!
有難うしかないです☆
主人公と彼が助けた少年が中心となって物語は進みます。
この世界での神様と人の関係性について語られる話を追っていくだけでも楽しいのですが、主人公と少年の関係性が変化していく過程がめっちゃ好きでした!
ファンタジックさとキャラの人間味のバランスが、とっても私好み♪
面白かったです☆
ある日龍の少年である主人公が1人の青年を助けたところから物語は始まる。
閉ざされた世界、どしれた文化で生きてきた主人公は彼との温かな触れ合いの中で、人の世を知っていく。けれども平穏に見える日常の裏で、刻一刻と世界は次へと歩みを進めていた。
これは人が世界を手に入れるその始まりを描いた物語──。
本作はタグや説明を見る限り、中国の故事や伝承を元に作者様なりのアレンジを加え、現代の読み物としたもののようです。
そのため人名・地名、言葉の端々に中華の雰囲気が滲み出す。舞台が海の近くということもあって、「日本」とは違った空気感を味わいながら読み進めることができました。
ジャンルが歴史ものということで構えて読み始めましたが、その内容は非常に読みやすくまとめられています。
未知に触れて考え方が変わっていく主人公。大望を抱えながらそれをおくびにも出さず、静かに燃える親友。2人の何気ない日常と心境の変化が丁寧に描かれていて、待ち受けていたクライマックスの納得感は素晴らしいものでした。
また、故事を元にしているせいか「人の世」というきちんとしたテーマ性が見られて、小さな漁村から凄惨な出来事の果を経て。海、やがては世界へとスケールアップしていく様は、なるほど、ある意味でお隣の大国らしさが出ているような気がしてとても新鮮でした。後半、親友が語る大望は傲岸不遜そのもので、だからこそ夢がある。結局は彼が言ったその言葉こそが、本当の意味で歴史が始まった瞬間だったんでしょうね。エンディングも個人的にはお気に入りでした。
人間、龍、そして神。3者が表面上は平穏に暮らしていた日々に一石が投じられたとき、歴史はようやく動き出す。騒乱の果てに龍の主人公、また、人間の親友が見る世界とは…。2万字に収められた“始まりの物語”。必見です!