定められたその場所で、彼女たちは生きている

閉ざされし小国にて、一人の赤子が連れて来られるところから物語は始まります。

檜岳《ひがく》と言う名の少女は蛇に好かれる特殊な性質を持つものの、いたって普通の少女です。しかし彼女には小国の掟に従い覆と呼ばれる生贄としての運命が待ち受けていました。
とある少年との出会いと家族の本当の気持ちを知った檜岳。それでも選んだ道に、時には胸が苦しくなることもあるかもしれません。


一方、絶対的な力を持つ帝国では三つ子が生まれていました。
蛇の姿で生まれてきた長子絢長《あやなが》と、絢梨《あやなし》という二人の兄を持つ絢舟《あやふね》。
奇蹟の三つ子として人々から崇められる存在の少女。最初は少し世間知らずのお嬢様の印象の絢舟ですが、兄弟との絆や彼女を取り巻く人々との関係を深めていくことで、少しずつ自身の置かれた立場を理解していきます。


小国の四鳥国サイドと帝国サイドと、交互に描かれるストーリー。
それぞれの運命と向き合い、あるいは抗いながらもその場所で生きていく少女たちの生き方には時としてはっとさせられます。

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