その後の話

優雅なファミリー

 お久しぶりです。作者のイコです。


 この度、『あくまで怠惰な悪役貴族』が、TOブックス様がコミカライズを提供しておられます。コロナEX様の方で、2024年11月7日から、コミカライズが開始されることになりました。


 それに伴い宣伝を兼ねて、リュークや他のキャラたちのその後のストーリーを描いていけたらと思っています。


 当作品は、2022年11月15日に初投稿から、約一年で書籍化、二年目でコミカライズを成し遂げることができた代表作にもなります。


 読者の皆様、ファンになってくれた皆様には感謝の言葉しかありません。


 コロナEXのコミカライズでは、書籍で説明が難しいと感じていた世界観や魔法の仕組みなどを、とてもわかりやすく説明してくれています。


 さらに、一話目では、少年リュークがとても可愛らしく描かれているので、作者として見ていてとても幸せな気持ちになりました。


 『あくまで怠惰な悪役貴族』の良さを表現していただけました。


 ぜひ、読んでもらいたいと感じる話になっております。


 長々とした挨拶をしてしまいましたが、それほどにオススメのコミカライズになっておりますので、どうぞ一読お願い申しあげます。


 ♢


 これは大人向け恋愛戦略シミュレーションの世界に転生してしまった。


 怠惰な男の物語。


 ♢


「おはよう、カリン」

「おはよう、リューク。最近は随分と早起きなんですね?」

「うん。体から怠惰が抜けた影響かな。前よりも体が軽いんだ」


 魔王に乗っ取られ、怠惰の呪いはキモデブガマガエルと呼ばれたリュークと共に消え去った。


 代わりにボクに残ったのは、『睡眠』の属性魔法とダンジョンマスターになったバルへの命令権だ。


「忘れていましたが、リュークは私の料理開発にも協力してくれていましたものね。昔が懐かしいわ」

「あの頃は、カリンは今以上の精力的で、孤児院を回ったりダイエット食品の開発もしていたよね」

「ふふ、本当にあれから十年以上の時が流れ他のですね」

 

 朝食の用意をして、妻であるカリンを出迎えたボクは、娘のカレンと三人で食事を食べる。


 すでに、魔王との戦いから数年の時が流れ。


 娘や息子たちは成長を遂げて一緒の食事を取れるようになっていた。


「パパのご飯美味しい!」

「よかったわね」

「だけど、パパはいつも何をしているの? お仕事はやめたんだよね?」

「うん? まぁ、ママに養ってもらって、怠惰な貴族生活を送っているよ」

「ええ! それってヒモじゃん。かっこ悪いよ」


 娘は成長をして、様々な言葉を覚えるようになった。


「まぁ、そうだね」


 そんな娘の言葉が面白くて、笑ってしまう。


「コラ、カリン。お父さんにそんなことを言っちゃダメでしょ!」

「だって、パパって見た目は誰よりもイケメンなのに、仕事をしてないって」

「パパは仕事をしていないわけじゃないのよ。保育園の経営は軌道に乗ってきて、先生を雇えるようになったから、人に任せて今は経営者をしているわ。それに世界を救うお仕事をしているんだから」

「えっ!? 世界を救うお仕事?! 何それ?」


 娘や息子たちには、ダンジョンマスターであることは話していない。


 実際に運営をしているのは、それぞれのダンジョンマスターたちで、ボクはたまに相談を受けるだけだ。


 世界のダンジョンはボクの手にあるようなものだけど、カレンには仕事をしていないように見えている。


 だけど、それが面白い。


「ボクはね。世界を牛耳る悪の親玉なんだよ」

「えっ!? パパって悪い人なの!」

「そうだよ。悪なんだよ」

「ええええ!!!」


 カレンはカリンの子供の頃に似ているから、素直で可愛い。何よりも丸顔なカリンに似た見た目がボクは大好きだ。


「もう、リューク。変なことを教えないで。カレンが本気にするでしょ!」

「嘘はついていないと思うけど」

「嘘ではないかもしれないけど、ちょっと違うでしょ!」

「パパとママって仲良しだね」

「うん。そうだよ」

「もう!」


 カレンの言葉でボクはニッコリとカリンに笑いかける。


「でも、不思議なの。どうしてパパとママは結婚したの? パパはたくさん奥さんがいて、私にもたくさん弟や妹がいるわ。それなのにママが1番だって、みんなが言うのはどうして?」

「それはね。ボクにとってカリンが特別だからだよ」

「ママが特別?」

「もう、その話は恥ずかしいからいいじゃない!」


 カリンは恥ずかしそうに話を止めようとするけど、ボクはカレンに伝えておきたいことがある。


「カレンは人の愛の形ってわかるかい?」


 カレンは首を横に振る。


「そうだね。愛ってすごく難しいんだ。その難しい愛情の中で、暖かくて美味しいご飯を食べられるって凄く幸せなことなんだ。世界には、とても不味いご飯しか食べられない人や、家族から毒を食べさせられる子供もいるんだ」

「えええ!!! そんなことがあるの?!」


 リューク・ヒュガロ・デスクストスの人生はそういう人生だった。


「そうだよ。だから、カレンが大きくなって好きな人が出来た時に美味しいご飯を食べさせてあげられるように、いっぱい料理の勉強をしておくといいよ」

「うん! 頑張ってみる! パパみたいなイケメンと結婚できるかな?」

「見た目は関係ないと思うけど、出来ると思うよ」

「ママとパパはどっちから告白したの?」

「ボクからだよ。ママに一目惚れしてね」

「キャー!」


 カレンは、年を重ねておませさんになって、恋愛の話を嬉しく聞きたがる。だけど、カレンに話をしながらも、ボクの話を聞いて、顔を赤くしているかりんの反応が可愛くて、ボクはそちらの方に満足してしまう。


「うーん、でも、やっぱり働いている人がいいなぁ〜」

「あははは、そうだね」

「でも、お父さんも働いているのよね? どんなお仕事?」

「いつかカレンにも見せてあげるよ。世界と戦う悪の戦いを」


 ボクはダンジョン運営に楽しさを感じ始めていた。


 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 あとがき


 どうも作者のイコです。


 リューク、カリン、カレン。


 家族の風景を描いてみました。

 今後はコミカライズの更新に合わせて、サイドストーリーを展開していきたいと思います。


 皆様に作品を思い出してもらいながら、描ければと思っております。


 どうぞ、書籍化、コミカライズ化の応援をよろしくお願いします。

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《web版》あくまで怠惰な悪役貴族 イコ @fhail

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