妖なのか、神なのか。どの中編も最後にはジーンとした感動に包まれます。

この物語の全体をおおうレトロな雰囲気がクセになる。名古屋って本当に面白い場所でもありますね。

さて、物語は探偵事務所のバイトとなった主人公がモノに宿った怪異を解決していく怪奇物語ではあるんです。

闇を感受することができる特異な能力を持つ大学生、服部 朔。彼は探偵事務所のバイトしているんですが、なぜか、そこは普通の探偵業務じゃなく、数々の怪奇現象に解決することが仕事。

まず、この青年のキャラがいいんですよね。つい感情移入したくなる優しさに溢れたキャラです。

探偵事務所で彼が出くわす怪奇は人じゃない。無機質な物に取り付いた呪いを読み解くのです。このアイディア、秀逸です。


 「足らぬ、足らぬ」と声を発する壺。
 人間の魂を誘い込む万華鏡。
 果たされぬ想いを封じたブローチその他


中編の連作作品で、それぞれに読み応えがあって、スラスラと進めることができる佳品の数々。そして、モノに込められた人情に感動します。

名古屋駅から名鉄あるいはJRで二駅。金山総合駅の程近くという立地からリアルです。おまけに、名古屋のB級グルメや銘菓を堪能もできます。

ぜひ、お読みください。ホラー好きな方、そして、ほろりとしたい方、名古屋名物を知りたいかた、おすすめです。

その他のおすすめレビュー

雨 杜和(あめ とわ)さんの他のおすすめレビュー1,374