刺客と狙われし者との、死を分かつまでの物語。かっこいいと言えば少々不謹慎かもしれませんが、でもかっこいいのです。
歴史に関しては疎いので云々言えませんが、それでも一物語として充実して心震わせることができました。
死を目前にした男たちはなにを思い、なにを望むのか。後半になるにつれ思惑や葛藤が複雑に入り混じっていきますが、それでも芯の揺るがぬ真っ直ぐとした心情が物静かな美しい文章で描かれます。最後がどうであれ己の信じる道を貫く、これぞ「クール」と言うにふさわしいでしょう。
また、こうして突っ走る男の傍らで、想い募らせる女性の生き様も必見です。
死ぬそのときまでいかに命を燃やせるか、むかえる結末に「切ない」と感じるか「ああやっと」と感じるかはあなた次第……。
渋好きさんには超オススメの一作!
古代中国王朝と北方の騎馬民族、その歴史の裏で紡がれる物語です。
騎馬民族の王の暗殺を命じられた主人公はその命に背くわけにもいかず、暗殺に向かいます。
しかしその途中で、物語は思いもよらぬ展開へ進んでいくのです。
よく練られた文章とストーリーの間で登場人物それぞれの想いが交錯します。
現代に生きる我々には到底考えられない価値観や思考にいい意味で唸らされました。
特に特筆すべきは、漢字の使い方や端々にこだわりの見られる表現です。
最後、不思議な納得感を得られたエンディングはとても短編小説を読んでいる気分ではなく、ひとつの壮大な物語を読んでいる気分にさせられました。
「たとえ人がなんと言おうと、歴史になんと綴られようと、己の道を行こう」※ひとこと紹介文の和訳です。
精緻な文章で綴られた傑作ストーリー。必見です!
中国王朝と北方騎馬民族のと争いの一幕を描いた架空史です。
硬質な文体、選び抜かれた表現で綴られるのは、騎馬民族の王の暗殺を命じられた漢人・顧恵雲の運命。
命に背くことすら許されず、自ら死へ向かう道を選ばざるを得なかった男の物語です。
逃げ場のない状況、息の詰まる空気、敵地に漂う異国の匂い。目には見えない様々な思惑、刃が交錯する瞬間の熱。そうしたものを肌で感じました。
とりわけ、主人公である顧恵雲の心理の動きが非常に見事です。
どうあっても死ぬしかない運命の中、顧恵雲が敵の王・大可汗の存在に抱いた感情。徐々に変化していく覚悟、そして最期に彼が見た景色に、強く胸を打たれました。
綴られた文字数以上のものを受け取りました。
素晴らしかったです!
主人公は漢人の顧恵雲。
顧恵雲は、契泰という国の可汗(王様)の暗殺の任務のために敵国に行き、任務を遂行しようとしますが……
中華な世界観の小説をあまり読んだことない方は、上記を頭に入れて読み進めると、話が理解しやすいと思います。
漢人と騎馬民族の攻防が、お話のベースなのです!
ここまで騎馬民族がしっかり描かれてるWEB小説にはお目にかかった事が無くて、とっても新鮮でした。
中華な世界観のお話が好きだけど、騎馬民族が登場する話はあまり読んだことがない……という方に特におススメ☆
あと、エピソードの末尾に用語の解説が時々あるのですが、そちらもとっても勉強になるので、必読です!
歴史の教科書でサラッと習ったこともある、中国王朝と北方遊牧騎馬民族とのわちゃわちゃした戦いの一部を切り取った、愛と憎しみ渦巻く人間臭い物語。この「人間臭い」ところを巧みに綴っているところが魅力の一つだ。陰謀好きな中国王朝とカラッとしてストレートな性格の遊牧民族の特徴を分かりやすく描き、闘いのシーンでは血湧き肉躍る映像を文字で伝えてくれる。
また、作中に散りばめられた漢字の使い方がユニークで、読みづらい字のはずなのに不思議とその世界にすんなり没入できる。その効果もあって、文章全体に美しさが際立っている。
中国では長い間、人間関係や社会を支える精神文化として「信・義」という美徳を称え続けてきた。どんなに血生臭い戦いとなろうとも、この美徳のおかげで歴史をテーマにした数々の名作が生まれてきた。この作品も「新たに生まれたその一つ」と言える。
中国史に馴染みが無い人でも読みやすく、知らぬ人物たちが登場しまくってもその魅力に惹きこまれると思いますよ☆