暗殺の命を受けた男が、最期に目にした景色は
- ★★★ Excellent!!!
中国王朝と北方騎馬民族のと争いの一幕を描いた架空史です。
硬質な文体、選び抜かれた表現で綴られるのは、騎馬民族の王の暗殺を命じられた漢人・顧恵雲の運命。
命に背くことすら許されず、自ら死へ向かう道を選ばざるを得なかった男の物語です。
逃げ場のない状況、息の詰まる空気、敵地に漂う異国の匂い。目には見えない様々な思惑、刃が交錯する瞬間の熱。そうしたものを肌で感じました。
とりわけ、主人公である顧恵雲の心理の動きが非常に見事です。
どうあっても死ぬしかない運命の中、顧恵雲が敵の王・大可汗の存在に抱いた感情。徐々に変化していく覚悟、そして最期に彼が見た景色に、強く胸を打たれました。
綴られた文字数以上のものを受け取りました。
素晴らしかったです!