熟女転生 現実では結婚相手見つからないので異世界転生して婚活考えてみた。

烏丸 にゃん子

第1話 熟女勇者ここに誕生。

 「あなたに紹介できる男性はもういません。」


 担当の言葉に一気に目の前が暗くなった。相手がまだなにか言ってるみたいだが、もはや何も聞こえない。頭もガンガンする。それでも頭をふり必死で現実に戻す。


 『なぜですか?』質問の口調もきつくなる。

「失礼ですが、あなた様のプロフィールと条件では。」


 あなたと言われたのは私、神島蘭子29才。ラノベ作家だ。ちなみに料理はできない、掃除も洗濯も。趣味はラノベを書いている。もちろん書籍化を目標にしているので、すでに職業は作家としているのだが、結婚相談所ではプロフィールをかってに無職に変えていた。


『どういうことよ。』声が大きくなる。

 

手を目の前で広げるポーズ、落ち着いてとのジェスチャーなのだろうが、失礼な仕草によけいに腹が立つ。


「先ほども申しました通り、このご条件では。。」


 条件などいくつもつけていない、最低でも年収600万、東証上場勤務か公務員、学歴は関関同立で顔はそこそこのかっこ良さが条件だ。


『たいした条件じゃないでしょ、年収1000万以上を希望する人も多いんだから、私は年収600万と400万も大幅に条件を下げているでしょ。』怒りがますばかりだ。


「あの、やはりそのハイスペックの男性は。。。」

『ハイスペックじゃない!なんとかしなさいよ、ここは結婚相談所でしょ、高い入会金とったんだから、希望の男を探してくるのは当然でしょっ。』バンバン机をたたく、声は外まで聞こえているだろう。

「あの、では少しご提案が。。」おずおずと担当がいいだす。


「異世界転生されてみては。」


『はーーーっ。』

『異世界ってなによ、あの異世界に行けって言ってんの。』怒りの限界、机の下でスネをけとばしてやった。


『ちなみに異世界転生したら、誰を紹介するつもりなのよ。』

 魔王と結婚して異世界を征服できるなら、悪くないかもしれない。お城に住めて遊んで暮らせる、召し使いも多くいるだろう。現実世界ではタワーマンションを買うのも夢のまた夢だ。



「あの、スライム様はどうでしょうか?」

 

 ブチブチブチ


 確かに自分の血管のキレた音が聞こえた。


『バカにしてんの、スライムってあのスライムでしょ、いつも勇者にカツアゲされてる雑魚筆頭、倒しても2ゴールドくらいしかもってないじゃない、そんな貧乏モンスターと結婚してどうするのよ。』

置いてあったボールペンをぶつける。


「いえ、違います神島様、スライム様は倹約家なんです、だからもしものために現金は持ち歩かれてないんです。なので貯金はあるとのことですよ。」

訳の分からない弁明を繰り返す。何を言われてもスライムなんかはアウトオブ眼中だ。


『次。』低音で告げる。


「ではこちら様ではどうでしょうか?」ペコペコしながらプロフィールを差し出してくる。


 ミノタウロスと書いてある、魔王直属軍に所属していて、有望株らしい。


『牛の化け物じゃない。』思わず舌打ちもでた。


「けど強くて男らしいかたですよ。」


『男らしいってなによ、夫婦喧嘩とかなってもDVとかしないでしょうね。』


「パンチ力は人間の10倍なのでお気をつけください。」


『アホっ。』

『10倍の力でパンチくらったら痛恨の一撃でしょ。10倍ってなによ。』

「現実世界で換算するとダメージ3000になります。」


『バカっ。』

『そんな話じゃないわよ、私自分のHPもしらないわよ。』


「神島様の最大HPは25でございます。」


『マヌケっ』

『そんなやつと夫婦喧嘩なったらどうすんのよ、ちょっとは考えなさいよ。却下に決まってるでしょ。』


『ここの結婚相談所って、異世界でもまともなやついないのね、ほんとお金返してもらうわよ。』

 次に変なモンスターを紹介したらお茶をぶっかけてやるつもりで、湯飲みの中身を確認する。


「わかりました、こちらのモンスター様はお得意様にしかご案内してないモンスター様なんですが」


『貸しなさいよっ』

プロフィールを引ったくる。


 キマイラが乗っていた。魔王の右腕らしい。年収もかなり高く自分の領地もあるらしい。

『ライオンってのがちょっとね、気をつけるとこあるの?』

「キマイラ様はお腹がすくとみさかいがなくなります。」


『どういうことよ。』

 意味がわからない。


「あの、その、喰われる可能性もあります。」


『それってエッチなことされるって意味の喰われる?』

「あっ、いえ、そのままの意味でございます。食われるです、食べられてしまいます。」


  バチャバチャバチャー


 お茶であたりはビショビショだ。


『あんたね、どこの世界に旦那に食べれてしまう奥さんがいるのよ。』

『もう、魔王を紹介しなさいよ、独身なんでしょ。』

「魔王様は18才以下をご希望されてます。」

『犯罪でしょ、何考えてんのよ、ちなみに魔王は何才よ。』

「公表では200万1050才となってます。」

『この、ロリコン大魔王、私がぶっとばす。』

『いまから私が魔王討伐に向かってやるわ。』


 ここに最強勇者、神島蘭子誕生。

 こうして現実世界は救われた。 


               完

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熟女転生 現実では結婚相手見つからないので異世界転生して婚活考えてみた。 烏丸 にゃん子 @karasumanyanko

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