残念なラブコメ(その3)「熱心なファン」(後編)

「オキルさん!好きです!!僕と付き合ってください!!」


おっと、ストレートな告白。お姉さんちょっとクラっと来たよ。


・・・でも私は、告白に対してそんなに動揺していない。周りにいるサークル仲間や関係者も囃し立てたりせず、微笑ましく見守っている。


それもそうだろう。


・・・告白してくれた相手は、どう見てもまだ小学生くらいの男の子なのだから。


「えっと、・・とりあえず、君の年齢はいくつかな?」


「あ、失礼しました。10歳、小学4年です!」


うん、そのくらいだよね。しかもしかも、


「いやー、すまないね、日向(ひなた)さん。どうしても息子が、会って話をしたいというから。」


「あ、いえ、そんな。」


うんうん。このパパさん知ってるぞ。・・というか、同級生です。

ちょっと気になってた時代もあった、脱サラして家族のために頑張る33歳のパパさんです。

世の中狭いなー。ぁ、ちなみに、「日向」(ひなた)は私の苗字ね・・・


「・・・嬉しいけど、まずは友達から、でいいかな?」


「はい!ありがとうございます!!」


うん、礼儀正しい子だ。


「じゃあ、親同伴でも小学生は帰らないといけない時間なので、ここで失礼しますね。では日向さん、また大学で。」


「オキルさん!今日は会えてよかったです!次の公演も楽しみにしてます!!」


「うん、ありがとう!!気をつけて帰ってくださいね。」


私は微笑ましい親子を見送った。

なるほど。定期公演はだいたい夜9時くらいに終わる。小学生一人じゃ残れないから、ファンレターだったわけね。

謎は解けたし、熱心なファンがいい人、いい子そうだったのは、ありがたいことだし嬉しい。


・・・でも、でも、


「小学生、しかも同級生の息子さんと、恋愛はできないよねーーー!!!???」



・・・なんか違う・・・なんか違うんだよぉ・・・・・

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