残念なラブコメ(その2)「気になるあの人」(後編)
「ああ、あなたですか。熱心な生徒が少ない中、熱心に取り組んでくれて嬉しいです。」
そんな年輩の女性講師の言葉に、彼は答える。
「・・それは、養うべき家族がいるからだと思います。脱サラして新たな道を進んでいる我が儘な私を、応援してくれている妻や息子に、応えないとですからね。」
「ああ、そうでしたか。失礼ですが、お年は?」
「今年で33になります。他の学生さんからしたら、一回り上のおっさんですよね。」
「いえいえ、まだお若いですよ。さて、今回はどういった質問ですか?」
「ああ、すみません。・・・についてなのですが、」
・・・会話はまだ耳に入るものの、私は呆然としていた。
え?妻子持ち?結婚している??
彼の左手をそれとなく見てみる。ぁ、確かに、薬指に指輪がはまってる・・・
気づかなかった私が迂闊かもだけど、これだけは言わせて欲しい。
(33でその見た目!?実際の年齢を聞いてすら、20代前半くらいにしか見えないんだけど!!?)
・・・うん。勝手かもだけど、心の中でならこれくらいは文句言っていいよね?大人びているどころか、実際に大人の方でした・・・
まぁ、でも、さっぱり、諦めはつきましたよ。
流石に「既婚者」の方に、「ちょっと気になる」くらいで、アプローチなんてできませんからね!!
・・・はぁ。・・どこかにいい人、いないかなぁ・・・
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