すごい もうヘッドホンどころではない

 オーディオに詳しい『僕』が、後輩にヘッドホンのあれこれを助言するお話。

 という以前の問題というかなんというか、登場人物ふたりともが終始酩酊していて、もはやどうにもならない物語です。

 いや酩酊っていうか、あの、こう……。
 完全に〝あかんこと〟になっていると言いますか……。

 文章がすごいです。もう最初から最後までずっとアッパラパーしてる。
 妙にフワッとしているかと思えば急にくっきりしてきたり、もう基本的になに言ってるかわからないようでいて、なのに読めてしまうし読まされちゃうのが本当に不思議。
 このなかなかよそでは味わえない感覚、大好きです。

 どうにもならない人しかいない状態で、それでもちゃんと物語してるのがもう本当にすごい。
 いわく名状し難い、何か異様な迫力を感じる作品でした。