人はみな空を見る。見上げては、目を伏せる。

現代を舞台にした、昔話みたい。

空に憧れている主人公をえらんだ所に、本作の良さがある。
本作は、高台に逃げたけれども津波に飲まれて助からなかった子供を供養するような作品、と邪推する。

タイトルに、空寂の旅とある。
空寂とは、万物は実体がなく空なるという仏教の教え。
空とは、エンプティーであり、インフィニティーでもある。
人が死んだら空へのぼり、西の果てにある浄土へ旅立っていく。
だから少年は、竜から下りられないのだろう。

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