最終話 そして、プロローグ

 ぼっちゃま。わたくしは大変嬉たいへんうれしく思っています。小林財閥こばやしざいばつ御曹司おんぞうしとしてお生まれになられ、お屋敷やしきから出ることなく、ずっと引きこもりがちだったぼっちゃまが、この夏は大変忙たいへんいそがしそうに、楽しい声をとびらの向こう側から聞かせてくださいました。やっとぼっちゃまにも心をゆるせる良いお友達ができたのかと思うと、執事しつじタカハシ、思わず目頭めがしらおさえるほど、幸せでございます。


 時折ぼっちゃまがお名前を呼ぶ、「ピー様」という方は、最近インターネットで知り合った方なのだと、わたくしは推測すいそくしております。


 それにしても、今年の夏にわたくしが小包をお届けした一般住宅いっぱんじゅうたくにまたお届け物をするとは、そんなに仲のいいお友達ができたのでございますね。ですが、ぼっちゃま、子供用の探偵セット五つをオーダーメイドせよと言うご依頼いらいには、タカハシ少々てこずってしまいました。なんとか完成し、本日お届けに行こうと思うのですが、こちらのカードをえてお届けすればよろしいのですね?


 はて、なんと書いてあるやら、タカハシには皆目見当かいもくけんとうもつきません。それに、誰なのですか? 怪盗キューピーとは?



 

【TaたんてタいだたんとタいうタなRAたBAきたるもタのくたらタいSOろたえtaRAどたうカな?  怪盗キューピー】





《終わり》

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ガッチーズと怪盗キューピー ——小包の謎——【角川つばさ文庫小説賞応募作】 和響 @kazuchiai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ