生きる長さは社会が決めるのか

近未来SF。
こんな未来が訪れませんように。

SFとは思考実験である。
一つの考えを突き詰めた先にどんな結末が待っているかを物語として見せるもの。
本作は、徹底して平等で公平な配分がなされた世界とはどんなもので、人間はどんな生き方をしているのかを描いた作品。

革命が起きたあとの本作の社会は、「より平等な社会を目指す流れから社会主義が流行」していったとある。
社会主義とは、資本主義で出てきた「富の格差」が社会問題となった時に誕生した考え方である。
なので、まさに「歴史は繰り返す」の言葉どおりのことが起きるのだろう。

平等で公平な配分がなされた世界とは、人の感情や自由は必要ないし、社会の役に立たないものは排除される世界なのだ。

死を前にして感情を取り戻し、人としての尊厳である自由を手にして命を絶った。
はじめて生きていると実感できた瞬間が死に際とは、皮肉か、救いだったのか。