第5話 友達もどき

「なんで、俺にそんなにかまってくるわけ?」


ある日、甲斐君に話しかけたら、そんなことを言われた。

言葉は冷たいが、本当に訳がわからないと言った感じで。


「だって、君とは趣味が合うんだもん。」

「趣味って…。俺が好きなのはアニメだぞ?しかも男向けの。」


ま、そうも言われると思う。

てか、よく言われる。


「異世界転移系も、俺Tueeee系も、ラブコメも大好きです。」

「そ、そう…。珍しいね…。」


ちょっと食い気味に答えたら、変な顔された。

でも、推しの変顔とか大好物です。ありがとうございます。


「でも、女の子でもそういう子いるんじゃ…」

「いない!」

「う、うん…。」


また食い気味に答えてしまった…。

でもこればっかりは仕方ない。だって、いないんだもん。


「甲斐くんが、初めてだった。私の話について来られるの。私の先を行くオタクライフをエンジョイしてるの…!」

「え、あ、ありがと…?でもまだオタクってレベルには到達してないっていうか…。」


ちょっと、自分ではオタを名乗るのはまだ早い…。

って公言してるの好感度高いよね。カッコよき。


「ま、俺クラスで浮いてるし。アニメ好きだし。話しかけてくれるのはまあ、嬉しいかもな。」


「…!!!!」


で、デレた…?


「あ、昨日のあのアニメ見た?俺、原作ラノベ買っちゃったよ。続き気になりすぎて。」


…ただ、アニメの話ができてうれしかっただけらしい。


「うん。気になる展開だよね!今度貸してくれたら嬉しいなー。」

「じゃ、読み終わったら貸すよ。」


でも、なんかこの瞬間がなんとなく楽しいのでオッケーです。

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