第6話 勘違い

「甲斐くん!そのラノベどんな話なの?」

「甲斐くん?もしかして髪切った?」

「甲斐くん、このアニメ見てる?」



「甲斐くん甲斐くん、」

「ね、みずみず。甲斐くんちょっと困ってない?」

「…へ?」


あいちゃんに言われて、ふと最近のことを思い出す。

あれから毎日甲斐くんに話しかけていた。

それは、推しが動いてるから!そりゃ、声もかけたくなるよ…!


でも、確かに…。甲斐くんの反応がいつもと違うかも…?


なんか、前は目も合わせてくれなかったのに目を見てくれるようになった。

口数も少なかったのに、最近は少し話すようになった。

無表情でクールな彼が、ほんのり笑うようになった。


…ん?好感触では?


「ほら、もう入学式の日からみずみずそんなんだからさー?

みんなに甲斐くん大好きなのバレバレだし?」

「え、そ、そうなの⁉︎」


き、気がつかなかった…!

そんなにあからさまでしたか、そうですか…。


「それだからさ、甲斐くんってモテるのに、女の子が近寄れないんだよね。

ほら、みずみず人気者だし、勝てっこないって。」

「そ、そういうこと…?」


確かに、入学式から一か月がたち、なんかおかしいとは思っていた。

だって、ラブないでは、もう甲斐くんハーレムができていておかしくないはずなのだ。


甲斐くんから聞いた話の感じだと、もう他のヒロインとの出会いも済んでいるらしく…。

その子たちが、甲斐君にアピールしないのは、まさかの私のせいか…。


…ラッキーでは?


「ね、みずみずめっちゃにやけてる。」

「に、にやけてないし⁉︎」


んー。でも私だけが甲斐君にアピールしてるなら、勝ち目…あるのでは?


「あのさ、みずき。」

「んー?って、甲斐くん!?」


急に声をかけられたと思ったら、甲斐くんだった。

なんか照れてる気がするけど…?もしかして⁉︎


「この前言ってたラノベ、貸すよ。」

「…あ、ありがとー。うれしい…。」


告白だと思ったよ!違かったけどね!


あいちゃんが、なんか苦笑いしてるけど、今ちょっと悲しいのでほっといてください…。



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