終ノ弦 祈り
そして、これは、誰も知らぬことじゃが。
「なむかんぜおんぼさつ。ありがてぇ」
おゆきは、少し背の伸びた
その時、下男が、ざんぶりと川に入って来た。
よい勢いで、こちらに渡ってくる。
日焼けした、その顔はまちがいない。
水を滴らせながら、
「お変わりないか、おゆきさま」
「あい。
「思うこと、ありまして」
「
「
「
不自然な
「おゆきさまが
「……」
「おゆきぃ」
あんまりな沈黙に、
「……
眉間にしわを寄せたおゆきに、
「いっしょに暮らそうと言うとる!」
ぽんと、おゆきは手を打った。
「そうかっ。追っ手の目を
「……」
「それでは、帰ろうよぅ」
おゆきと
たぶん、鈍いおゆきにも、そのうちわかるだろう。
あちらの岸では、ゆうるりと若い僧が手を振っていた。
昔、昔のお話しじゃ。
了
月と逃げる ミコト楚良 @mm_sora_mm
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