第4話 三嘆
犬飼悟が死んだのは、この対談から数日後のことだった。独身で、享年二十五歳。早すぎる人気怪談作家の死は、マスメディアも大きく取り上げた。自宅で亡くなっているのを発見された犬飼は、司法解剖の結果、餓死だと判明した。自宅の冷蔵庫の中も、犬飼の胃の中も、空だった。そしてトイレには、犬飼が何度も吐いたり下痢をしたりした跡が残されていた。数日間の間に、彼の身に何があったのか、知る者は誰もいない。
ただ、同じマンションの住民は、数日前から犬飼が何かに必死に謝っている声を聞いたことがあるという。「ごめんなさい、ごめんなさい」と。
〈了〉
「貉」 夷也荊 @imatakei
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