第二話 おい変態共
「ごめんね、じゃあ入って」
びしょ濡れになりながらも、ラウルツは扉を開け、中へ招き入れる。
・・・今すぐお風呂に入りたいですわ
「では失礼します」
「そんな固くならないで。これからはここが君の家なんだから」
墓場の間違いでは?
とか少し失礼かもしれない事を考えていると、奥から人が出てきた。
「ん、ラウルツそれ誰?」
「それとか言わないの。今日から家族なんだから」
「家族、ねぇ・・・
___せ、____たすぐ______」
何かぼそりと呟いていたが、聞こえなかった。しかしラウルツには聞こえていたらしく、眠そうな彼は説教をくらっていた。
いよいよ寝てしまうのではないだろうか。
というかそんなことよりお風呂に入りたい。
「ちょっとちょっと2人とも〜、その子お風呂に入れないと風邪ひくよ〜?」
間延びした声が上からしてきた。
・・・上から?
上を見上げると高い吹き抜けの天井に棒を引っ掛けて、ぶら下がっている人がいた。
随分と個性の強い方が揃っていらっしゃるようですわね。
「あっ、そうだった!ごめんね、風呂こっち」
ラウルツに連れられ、浴場へと進む。
どこも隅々まで掃除が行き届いており、血生臭いどころか花の香りがしてきそうな程だ。
そして何故か先程の説教をくらっていた人と、棒にぶらさがってた人がついてくる。
こわい。
「ねぇ、名前なんて言うの?」
「リシェル、といいますの。宜しくお付き合い下さいませ」
思ってもないけれど、すっかり染み付いてしまっている癖は抜けないようだ。
考えなくても言葉がスラスラ出てくる。
「ふぅん
俺はネーシャ、よろしく」
「へぇ〜リシェルちゃんって言うんだ〜
俺はマヒネ、仲良くしてね〜」
「ええ。もちろん」
「お風呂だよー」
引き戸を開け中を覗くと、更衣室があり、その奥に浴槽があった。
「では、お風呂お借りしますわ」
「うん、自由に使って」
軽く微笑み、ラウルツは出ていった。
・・・さて。
「お風呂入ろ〜ネーシャ〜」
「ん」
この一緒にお風呂に入ろうとしてる変態たちはどうしましょうかしら?
破滅した悪役令嬢は吸血鬼たちに愛される。。 柊 透夜 @hiiragi_touya
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