物語は、高校三年生の京谷みやこが医大の不合格通知を見るところから始まり、そんな現実から逃げるように街を回っていると、不思議な喫茶店を見つけます。
不合格という地に落ちる感覚。親からの期待に答えられず、何か言われるかもしれないという恐怖感。自分の将来への不安。早くここから逃げ出したい。きっと誰しも一度は味わったことのある感情だと思います。
短い文章の中にこれらが繊細に描かれ、主人公・みやこにスッと感情移入できる作品。
前を向けと言われることは数多くありますが、前を向くことが全てではないです。この作品は、一度立ち止まって振り返り、自分と向き合うことの大切さや対話をすることの大切さを教えてくれます。
初心忘れるべからず。迷ったら原点に帰ってみるのが必要かもしれません。読了後きっと晴れやかな気持ちになります。心温まる素敵な物語をあなたもぜひ。