第178話 不思議なものである
「いや、確かに女性百人をランダムで集めてきた場合、八割から九割の女性は俺と狭い空間で密室になると我を忘れて理性が崩壊し、性欲という本能の赴くまま襲ってくるであろう事くらいは俺も理解している」
そう、残念ながら俺が転生したこの世界の女性たちは、性欲を抑える事ができない方が異常に多いのである。
その為ニーナやお母さまが口酸っぱく『女性の事は信用するな。 全員狼と思え』と言って聞かせ、そして今もその事について叱って来る事は理解できているのだ。
「いいえ、分かっておりませんね。 今までジュリアンナさんやオリヴィアさんの事で気が緩んできているとしか思えませんっ! いつか気を引き締める為にも言ってやらなければいけないと思っていましたが、まさかここまで頭がお花畑になっているとは……。 襲われる前に気付けて良かったですよ、まったくっ!!」
「いやいやちょっと待ってくれよっ。 確かにニーナの言いたいことは分かるし、俺の事を思って言ってくれている事も分かっているつもりだ。 しかしながら九割の女性がニーナの言う通り狼かもしれないけれども、一割はまともな思考を持って行動できる女性だという事でもあるだろう? ニーナがそうであるように。 そしてカレンドール先生もそうであったという事だと俺は思うのだが?」
そう俺はもっともらしい事を言うのだが、心の中で懺悔する。
本当の事を言うと前世と今世の生きてきた年数を足すと自分の母親よりも年齢が上になってしまう為同級生はまだまだ子供だなと思ってしまうのだが、カレンドール先生に関しては大人の色気も感じ取ることが出来る分襲われても良いかな? と思っていたという事を。
ちなみに今の俺が女性らしさを感じるど真ん中は二十七歳から三十五歳であると言っておこう。
それこそ前世で学生の頃は同年代の異性をちゃんと異性として恋愛対象として見れており、二十七歳などオバサンだと思っていたのだが、歳をとるたびに少し前まで異性と思えていた十代の事はストライクゾーン外へ、そしてオバサンだと思っていた年上の年齢がストライクゾーンへと入って来るのだから不思議なものである。
その事からもカレンドール先生は俺のストライクゾーンから少しばかり外れているのだが入っていない訳ではなく、そしてその大人びた雰囲気や、仕事のできる美人ОLという見た目も相まって、逆に俺の方が下心が出てしまっていましたなどとは、ニーナやリリアナがいる前で言えるわけもなく、それっぽい言い訳で言い返す事しかできない自分が不甲斐ない。
というか、俺からすれば俺の使用済み洗濯前のパンツでトリップするような二人よりもカレンドール先生の方が全然まともに思えるんだが……。
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