謎なギフトの使えない主人公がPTから追放されて、という異世界ファンタジー。
安心安定の追放テンプレを上手に利用して、読みやすく面白い作品に仕上がっています。
内容としてはタイトル通りなのですが、勇者の友人、という設定がユニークですね。
しっかりと「ざまぁ」ではありますが、正直追放したい気持ちもわからなくはない感じなのが絶妙な設定だと思います。
テンポ良く進みますし、荷物運びにフォーカスするなどスキルやギフトの設定もしっかりと作り込まれています。
追放系異世界ファンタジーが好きな方にオススメする作品。
間違いなく読みやすいし楽しめるとおもいます。
テンプレの追放系の中に
【勇者の友人】という独自のワードが入っているのが素晴らしい。
良いフック(心惹かれる、引っ掛かりポイント)になると思います。
最強のギフト【勇者】を決めるのは僕だ!
これも素晴らしい伏線です。
文章も読みやすく、イメージしやすいです。
高い文章力の作者の熟練度を感じました。
すごく勉強になりました。
キャラデザも素晴らしい。
会話だけで、どのキャラが喋っているか、分かります。
気になる点
小説の中にはないです。
かなり洗練された文という印象でした。
強いて言うなら
【勇者の友人】以外にもう一つ独自のパワーワード、フックが欲しいです。
企画上でなかなか全部読みきれず、
理解が足りてない部分があります。
御理解頂けると助かります。
改善点は軽い参考程度に考えて頂けたら幸いです。
偉そうに意見しまして大変申し訳ありません。
執筆活動は大変だと思いますが微力ながら応援しております。
誰よりも海水を飲む人
きっと、この作品の題名を見たら「なんだ、また追放系かよ」と思う方も多いはず。ですが、この作品はそんな安易はなろう系ではない。
まず、追放するにあたって、その根拠がしっかりと書かれており、多少強引なところもあるが、概ね納得できる内容です。強引なところも、キャラクターの性格をよく表していてとても良いと思いました。
また、主人公の強さの根底がしっかりと書かれており、それが単なる能力便りではなく、主人公の努力の賜物故のもの。主人公は、過去の経験から自分を低く見ています。ですが、新しい仲間が主人公を受け入れていく様は胸が熱くなります。
ハーレム物のようですが、最初からべたべたせず、ちゃんと順序を踏まえているので不快感を感じさせません。
あまり読まない異世界ものですが、そんなことを感じさせないほどに面白いです。
勇者の友人というという能力を与えられた主人公が勇者パーティーをクビになるシーンはテンプレとは分かっていてもとても悲しくなりますし、その理不尽な境遇は何故か現実的に感じられ、勇者たちの性格の悪さは力を手にしたものの傲慢さがきっちりと文章にされています。
勇者の友人は閲覧することも不可能で、ある意味ミステリ的な構造になっています。
もちろん、タイトルやタグでその内容を察することは出来ますが、主人公が冒険者ギルドを訪れ、別のパーティーとダンジョンを攻略するところに違和感として出土します。
何故かルイーゼという少女がとても強くなるのです。
その強さは主人公が疑問に思うほどで何かがあるなと感じさせます。
そういう物語的な引きの強さを作者さんも理解していて中々明らかになりません。
またゲーム的な世界観はお約束とはいえ魅力的に感じられました。
読んでいてゲームがプレイしたくなる小説で、そういう設定あったなあという漠然としたルールを理論として構築するのは素晴らしいと云えます。
またダンジョンを適当に攻略するのではなく主人公の知識を用いて丁寧に描くというのは読んでいて楽しいです。
パーティーはハーレムで女性四人に対して男性が二人しかいませんが、最初から主人公に何故か好感を抱くことはなく、主人公の淡い思いとして記されているのは私としても読みやすかったです。
あまり最初からベタベタするのが好みでない人もオススメできます。
また主人公自体がチートではないというのもジョジョのスタンドバトルのような形で利用できるのではないかな、とも思いました。
頭脳戦になればいいなという想像力を刺激するところも魅力です。
そして主人公の持つ能力の正体とは?
伏線もありますのできっと素晴らしい展開になると思います。
ここからどんな冒険が始まっていくのかもとても楽しみな作品です。
異世界ものを普段読まない人も読んでみてはいかがでしょうか。