おにのいないさと

昔々、信濃の国の山あいに都からやってきた紅羽という美しい姫がおりました。
紅羽は里のものたちに読み書きを教えたり、薬草から薬を作って与えたり、産業を興したり…… 山里の村に活気をもたらし、村びとからも慕われて穏やかに暮らしていました。

しかし都では「信州の山奥に棲む鬼女が近々都に攻め上って来る」と噂が立つようになりました。

そして遂に朝廷は鬼退治の命を信濃守に与え、250騎の軍が「鬼女」とされた紅羽を討つために差し向けられたのです。

◯主な登場人物

・綾　　　……百姓の娘、紅若丸の姉や
・紅若丸　…… 紅羽御前の息子
・紅羽御前…… 都からやってきた美女、水無瀬の姫


※ 長野県の戸隠、鬼無里、別所温泉などに伝わる紅葉伝説をベースにしたフィクションです。