ファンターチカ(後編)

「おかえり! 早かったね!」


「うわー、ラピィの袋、いっぱいふくれあがってるよ! すごーい!」


「そーれ、はいっ、どーぞ! みんな、好きなだけ食べてね!」


「ありがとう」


「いただきまあす」


 ラピィが持って帰った袋から、いろんな種類の果物が現れました。


「あ、これ、知ってる。スターフルーツって言うんだよね」


「これ、マンゴスチンだよね」


「うん。あと、珍しいのが、ドリアンとパラミツとリュウガン。あ、そーだ、アキーっていう、食べ方に気を付けないといけないのがあったっけ……」


「ん?」


「どーしたの?」


「リリィが、してるの」


「ああっ、その気を付けなきゃいけないのを食べたんだよ、きっと!」


「……ピンクルポッコラス」


「……へ?」


「ピンクルポッコラス!」


「リリィ、なんて言ってるんだろう。意味が分からない言葉しゃべってる」


「でも、何だかすごくハッピーそうだし……えと、あの青い星の方へ羽をパタパタさせてるよ」


 リャーサーたちは、リリィの不思議な動きに戸惑いながらも、ハッピーオーラ全開のリリィに圧倒されて、みんなで意味を考えた。


「ね、さっき食べたのがおいしくておいしくて、もっと食べたいってことじゃない?」


「今からまた、あのちっちゃい青い星に行こうって言ってるんじゃない?」


「リリィ、そう?」


「ピンクルポッコラス!」


 リリィは羽を大きく広げて、くるくる回転しながら飛んでみせた。


「そっかー! 私もリリィみたいな気分になりたいよー」


「私もー!」


「じゃあ、これからみんなで早速出発しよう!」


「決まりーっ」


『ピンクルポッコラス!』


 星のリャーサーたちは、一斉に、青い小さな星をめがけて楽しそうににぎやかに羽ばたいていきました。



fin

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ファンターチカ 泉 秋 @izumiaki50

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