第3話・新たな人類誕生〔ラスト〕

 赤い惑星に未雷と過子が創生したアダムとイブは、赤い肌をした半人半馬ケンタウルス人類の男と女だった。


 男子学生とシスターの容姿をした、異形人類はVRゴーグルを装着した姿で仮想現実惑星に現れた兄妹を、自分たちの創造主だと認識して尊意を示す。

「神さま、わたくしたちを創生していただき、ありがとうございます」

「なんなりと、ご命令を」


 未雷と過子は半人半馬ケンタウルス人類に、金属鉱石と金属加工の技術を教えた。

「子孫を増やして文明を発達させなさい」

「はい、子孫を増やして文明を発達させます……えーと、神さま子孫を増やす方法は?」

「分裂繁殖です」


 バーチャル空間の時間進行を未雷と過子は、自由に操作できた。

 惑星の時間を進めて、一日後に経過を見た未雷と過子は驚いた。

 半人半馬ケンタウルスたちは、金属を加工した武器を手に戦争をしていた。

「国を奪え、領土を広げろ!」


 未雷が言った。

「失敗だ……廃棄しよう」

 惑星の表皮が果物の皮でも剥くように、クルッと裏返しで剥かれ……地表の皮は半人半馬ケンタウルス人類たちを包み込んだまま、紙屑みたいに丸められてブラックホールのゴミ箱にポイッと捨てられた。

「次は成功させようね、お兄ちゃん。過子、卵から生まれてくる卵生人類も見て見たいな」


 新たに兄妹が作った世界は、海洋が大半を占める青い惑星だった。

 未雷と過子は、今度は青い肌の半人半魚マーメイド人類を創生して、文化的な文明に発展するように文字と石板で書物を作る技術と、知的好奇心を与えた。


 過子が人魚の男女に言った。

「賢い海の人類になりなさい……武力で争ってはダメ、あなたたちは卵から生まれてきて増えていく」

 下半身が魚型哺乳類で、上半身が人間の女が砂浜で言った。

「神さまの言う通りにします……たくさん、産卵して子供を増やします」


 青い惑星の時間が進められた。覗いて見ると、知性を発展させた海洋人類たちが小島に集まって、口々に神に対する不満を漏らしていた。

「神は死んだ!」

「本来の神は、わたしたちだ!」

「我らが神に!」


 ムッとする過子。

「コイツら、調子に乗り過ぎ……廃棄しよう」

 海洋の表皮も剥かれ、丸められてポイッと、処分された。


 未雷と過子は、緑色の惑星や白い惑星を作り。

半植物人類や有翼人類を創生しては、気に入らなければ次々と廃棄していった。

「さあ、次はどんな異形人類を創生しようか……ふふふっ」

「あはははっ、お兄ちゃんは半人半獣のケモナー人類を……あたしは、別の創造した紫惑星で|半人半蛇《ラミア」人類を創生するぅ……あははは」

 もはや、未雷と過子、の二人には完璧な異形人類を生み出すコトが目的に変わっていた。

「うはははっ」

「あはははっ」



〔未雷と過子たちの世界を、高次元から眺めている存在の声〕


「おやおや、高慢な人間が。創造主ゴッコをして遊んでいますね……困ったものですね。あなたたちも、注意はしておいた方がいいですよ……神は気まぐれですから、人類に少し修正が必要ですね作り直しますか」


 高次元な世界の存在に住む、神と自負しているマッドな姉弟きょうだいは、未雷と過子がいる世界と人類の再創生に取りかかった。


新たな異形人類を創生してみよう~おわり~

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新たな異形人類を創生してみよう♪ 楠本恵士 @67853-_-

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ