あとがき

あとがき

 はじめまして、桂田武史と申します。

 数多ある魅力的な作品の中から拙著を読んでくださった方、本当にありがとうございます。とくに重たい題材を扱っている作品ですので読んでくださった方がいることに感激です。


 さて、本作ですが。

 桂田が執筆活動を始めてから10年、初めて完結させた(そして2022年9月26日現在、唯一完成させた)思い入れのある作品となっております。完結させた理由が、卒業制作で書き上げないと卒業できないからというなんとも情けない理由ではありましたが……この作品のおかげで小説に向き合う覚悟が決まったとも言えましょう。

 この作品を書く以前、桂田は所謂ライトノベルを中心に執筆しておりました。

 もちろん卒業制作に何を書くかと問われた時、喜々としてバトルファンタジーの企画書を提出しました。

 しかし、ゼミの先生はなかなかGOサインをだしてくれませんでした。(桂田の文体的に一般文芸を書かせたら化けるかもしれないと思っていてくれたようです)

 ですが新たなアイデアというのは簡単に出るものではありません。書きたいものを否定された気がして、もう卒業できりゃいいんだし適当で良くね? となってしまいました。

 本当に作家としての覚悟もなんにもありません。

 とりあえず当時書いていた刑事小説風ラノベのキャラを使いまわし、『錆』の執筆をはじめました。

 そんな桂田をみかねて『きなこもち』のメンバーが文学フリマ京都へ連れて行ってくれたのが大きな転機でした。

 その文学フリマで表紙買いしたとある刑事×SFの小説がものすごく面白い!

 途中で桂田はハッとしました。好きでアイデアが浮かぶのが楽しくて楽しくて仕方がなかった創作活動がいつから楽しくなくなったんだろう?

 最終原稿には間に合わず卒業制作は荒い原稿になってしまい、当然私の卒業制作が学科賞を受賞することはありませんでした。 それでも、泣くほど悔しいという感覚が湧いたことには驚いたのを覚えています。

 自分も誰かの心を動かし、誰かの人生を変えられるかもしれない小説を書きたいと思えた時、久々に楽しいという感覚が帰ってきました。

 帰宅後、すぐにかなり雑だった『錆』の修正をしました。そうしてネットに掲載し、今に至ります。

 この作品は、桂田一人の功績でなく、先生、チームきなこもちのメンバー、合評してくれた学科の仲間たち、僕の忘れていた気持ちを取り戻させてくれたとある作家さん、そして今読んでくださっている方々、実に多くの方の協力によって出来上がった作品です。

 皆様に感謝は感謝してもしきれません。こうして作り上げた『錆』はまだまだ未熟かもしれませんが僕の何にも換えがたい宝物です。


 桂田の得意とする小説はグロ・人怖です。決して心の温まるものではありません。作者本人も、人間としては未熟で、精神的な浮き沈みも激しく、筆も遅い。はっきりいって現状では作家失格です。

 そんな桂田ですが。拙著を読んでくださった方が新しい世界を見ること、今まで考えもしなかった事象について興味を持つことの一助になれたらと願いこれからも執筆を続けていく所存です。


 長々と昔ばなしに付き合ってくださってありがとうございました。

 まだまだ暑いですが、皆様お体に気をつけて。いつの日かどこかのあとがきで「また桂田じゃねえか」と再開できることを願いつつ、あとがきとさせていただきます。


          2022年9月26日 桂田武史

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桂田武史 @TakehumiKatsurada

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