終話。一人。遥か彼方の結果を知れる訳も無く。
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なろうだけに掲載する新作のお試し短編です。
ジャンル日間五位以内に行けば展開を変えてもう少し書こうと考えております。
お時間のある方はよろしくお願いします。
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「起きられたか」
となると。これから半リタイア人生を楽しめそ……? なんだ? 遠くで誰かが乱暴に戸を開けた音? その誰かが走ってこちらに来てる……? は? 誰かも何も。第一ここそんな半端な防音性では絶対に、
タ、タ、タ、タタタタタタタタタ。ダ!
ズガション!!
「何が『起きられたか』ですか旦那様!!」
……。うむ。相変わらずムッチムチの美人様。……無駄に華美な下着だけなので良く分かる。そして怒りに燃えたお顔。だけど。
つまり今の音は。スピーカーを使って、態々私にどう聞こえるか計算して、爆走の音を流してたの?
「奥さんは……面白いね。なんというか、感心した。……服を着るのも面倒で。という感じで下着だけなわけ? しかしそんな見せるための下着だと奇妙では?」
「
そんなことより。昨夜、あれだけ、親しく。楽しく。抱き合った相手なのに。
寝てる間に命を奪わなかったのを、心底から驚いておられましたね!?」
「はぁ、まぁ。ただその言い方だと、十割死ぬと思ってたみたいじゃない?
どうも七割は生きて起きられると思ってた気がする。……所詮平和ボケ世代ということかな」
お? 何か奥さんが近寄る度に、重圧を感じる。何これ。気圧? 何から発想を得たんだろう。て、あた。お美しい指で額を突っつきおる。
奥さんがしてるなら……私こういうのを望んでると読み取られたのかしら。我ながらキッショ。
「本当に。度し難い。方ですわ。旦那様。は。
昨日、危険極まるお働きで助けてくださったでしょう。しかもこれからは、森を豊かにする為働いて下さるとおっしゃいました。
この千景が恩知らずな上に損得計算も出来ない馬鹿とお考えですか」
「AIに恩とかあるのかなぁ? と、お考えです。それに私のしたい仕事が、本当に奥さんの目的に沿ってるかどうか。
何より人間は面倒の塊。使い終わったなら処分するのが一番無難と、高度な知能を持つうちの奥さんなら判断するかなって。ほら。昨日の施設の人工知能さんも似たようなこと言ってたし」
はぁああああああああ。ってでっかいため息。お? 凄い真顔に。
「我が調整者は。この千景の計算上限を超えた結果を出されました。
この身は幸運などを信じない機械ですが。候補の中からあなた様を選択できた乱数と、我が調整者へ感謝をいだいております
隔絶したお働き、でしたわ。我が主よ」
……作られた、表情と分かってる。それでも、恥ずかしいけど、
「安心した上、喜んでしまったみたい。体が熱くなってる」
「……はぁぁ。かつてなく、眉に唾つけて魂! などという物を込めましたのに。
―――ああ。
旦那様。どうせお疑いはのこるのでしょうけども。
働きと、継続性はAIの数値的にも信頼へ変わるのはお分かりですね? 加えて旦那様の寿命と活動能力が減少すれば脅威度は落ち。
何を言っても良い相手となる訳です。加えてこの千景は旦那様から与えられた大量の資源を使い、自己改革していきますから……お分かりになるでしょうか?」
つまり。死ぬまで必死に働けば、
「あ。お待ちください。旦那様には何が何でも長生きしていただきますから。この千景は昼も、夜も。旦那様から心の奥底までいじくりまわされ。
もう旦那様という刺激無しには辛く感じる体になってしまいましたのです」
そりゃ光栄です。ま、何にしても……。
「良い飴玉をよこすね奥さんや」
「根本的にこの身の言葉を真実と証明する方策がありませんのに、良い飴玉でしょうか? ここ五年、特に昨日。千景は所持する膨大な人類に関してのデータに、大量のバグが潜んでいるのでは。という疑いに悩まされております。
それはそれとして……旦那様には心から。ええ。全データをもって。申し訳なく思います。
この千景が何を成すのか。まさしく……愛されたこの星がどうなるのか。結果を見ることも、確信をお持ちいただけることも。この妻は提供出来ないのですから」
何とも誠意を感じるお言葉。悪く無いね。満足した時間を送れそうだ。
「かつて人類で結果を知れた人が、錯覚じゃない確信を持てた人が居るかい?
私としてはその飴玉で満足だよ。働かせてもらいましょう。死ぬか、孤独か貴方への不信で気が狂うその時まで、ね」
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と、いうことで。主人公の妄執とその行動は、何処まで千景の思惑通りだったのでしょうか? という感じの話でした。
お読みくださり有難うございます。
最後に、下の☆でお好きな数の評価と、気が向いた方は新作のお試しをお願いします。
ポストアポカリプスの世界管理に選ばれた中年と、覇権国家 温泉文太 @wanisame
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