地獄のような家のおぞましい男たち

 とある寒村、「神喰(かんじき)」と呼ばれる家の、恐ろしい男たちのお話。

 田舎の地主の家を舞台にした和風ホラーです。
 このどろりと膿んだようなおぞましい雰囲気!
 方言による語りの味わいも相まって、もう読んでいるだけで何か瘴気に当てられているかのような、独特の重苦しさがありました。

 しかも内容もまた本当に強烈で……いやもう揃いも揃ってこの男たち……。
 いわゆる田舎の歪んだ因習のような、人の行いの邪悪さもあれば、「勝手に叫ぶ人面瘡」といったものまで、いろんな種類の〝厭〟なり〝恐〟なりがみっしり詰まっています。

 個人的には作之治さんが好き。単純に顔がいい男が好き、というのもあるのですけれど。
 こんな地獄のような環境にあって、彼のような存在は唯一の癒しに、なりそうに見えて逆になりそうもないのが最高でした。
 まず癒しじゃないのわかってて、それでもついそこに救いを求めながら読まされちゃったような感覚が、こう……ね?(読んでいただければわかるはず!)

 どろどろとした不気味な重苦しさのある、ひたすらに濃い和ホラーでした。