古くから続く村とそこに住まう一族の因習を、
外から来た者に、ぽつりぽつりと話す、
どこか卑屈な男の一人語り。
戦前の、大正、昭和初期辺りの、
暗く寂しい村の雰囲気がよく表れています。
この文章を読んでいると、
白黒の、木々に埋もれた、
寂れた陰鬱な村の情景が浮かび上がり、
読者の没入感を高めてくれる事でしょう。
DV夫っぽいw 次男と、三男の関係が好きです。
手を上げる事があったとしても、
どこか、兄弟の絆を感じました。
この物語を男は、その一族の出と、
自身に言い聞かせる為に語ったのかなとも。
薄暗い過去の闇の中にあったかも知れない、
不気味で不可思議で残酷な場所。
あなたもたずねてみませんか?
とある寒村、「神喰(かんじき)」と呼ばれる家の、恐ろしい男たちのお話。
田舎の地主の家を舞台にした和風ホラーです。
このどろりと膿んだようなおぞましい雰囲気!
方言による語りの味わいも相まって、もう読んでいるだけで何か瘴気に当てられているかのような、独特の重苦しさがありました。
しかも内容もまた本当に強烈で……いやもう揃いも揃ってこの男たち……。
いわゆる田舎の歪んだ因習のような、人の行いの邪悪さもあれば、「勝手に叫ぶ人面瘡」といったものまで、いろんな種類の〝厭〟なり〝恐〟なりがみっしり詰まっています。
個人的には作之治さんが好き。単純に顔がいい男が好き、というのもあるのですけれど。
こんな地獄のような環境にあって、彼のような存在は唯一の癒しに、なりそうに見えて逆になりそうもないのが最高でした。
まず癒しじゃないのわかってて、それでもついそこに救いを求めながら読まされちゃったような感覚が、こう……ね?(読んでいただければわかるはず!)
どろどろとした不気味な重苦しさのある、ひたすらに濃い和ホラーでした。