第20話 恨みを持った救世主現る!
ミナトは、前世のイジメなどで、暗く静かな空間に慣れていた。しかも、人生に疲れ切っていたこともあり、何日でも寝ることを一切苦に感じておらず、一回も目覚めることなく時が進んでいった。
「私が見誤っていたというのですか?人間とは、このような閉鎖された空間や時間の概念がわからない空間や人と接することが出来ない時間が長いほど気が狂っておかしくなると思っておりました」
自称天才だと自負していたマッドサイエンティストは、人生で初めて間違いだったのかと思ってしまう。
「う〜ん?もうすでに、2週間が経過していますね。ナノが、進行を抑えていますが、あちらの技術や回復魔法では取り返しがつかなくなるでしょう。仕方ない呼び出しますか」
ミナトがあまりにも、ぶっ飛んだ行動をしてしまい、このままではマッドサイエンティストの計画が破綻してしまうので、予定にはなかったナノを呼び出すことにした。
「ナノ、今縛りを解きました。私の空間に恐れなく侵入出来るかはわかりませんが、いつでも入って来れますよ」
『貴方は......ナノをご主人様に注入した人ですね。ご主人様を閉じ込めて、何をしようとしているのですか?』
マッドサイエンティストの脅しのような言葉など意に返さない早さで、ナノは空間に入ってきた。
「これはこれは、兄妹の愛情というものでしょうか。まさか、こんなにもあっさり入ってくるとは、罠だと思わなかったのですか?」
マッドサイエンティストは、ナノの質問をスルーして意地悪をするような遊ぶような返答をした。
「罠だとしたら、初めから侵入を阻害することはしないはずです。何かしら貴方にとって予想外の出来事が起こったのでしょう?どうやら私の助けがいるようですね」
ナノに顔はないが、ニヤニヤしている雰囲気でマッドサイエンティストに問いかける。すると、マッドサイエンティストは不敵な笑みを浮かべたあと鼻で笑った。
「フッ、私は提案をしようとしているだけですよ。このままでは、遅かれ早かれミナトは死ぬでしょう。私の技術とナノマシンの貴方であれば、後遺症が残らず目を覚ますでしょうね。どう致しますか?」
マッドサイエンティストは、あたかも助けるために呼び出したかのような言葉を口にした。
「くっ、納得はいきませんが、私を生み出した貴方ならば、可能性がありそうです。条件はなんですか?無償とは言いませんよね?」
「フフッ、流石お話が早くて助かります。お二人の記憶の消去とミナトの性格を私好みにしてしまいましょう。これだけの条件で、二人とも死ぬことを免れるのです。素晴らしい条件ではないですか?」
マッドサイエンティストは、あたかも当たり前かのように発言する。しかも、これでも譲歩したかのような上から目線なのだ。
「な、なにを言っているのですが!そんなこと受け入れられるはずがないでしょ!」
「それならば、2人とも仲良くあの世に行くだけです。では、ミナトが亡くなるのを待ちましょうか」
ナノは、完全に術中に嵌って、マッドサイエンティストは勝ち誇ったような顔をしている。
「ふぁぁぁ、よく寝た。ナノ元気そうで良かったわ。ずっと、こいつの話聞いてたけど、騙されたら駄目だぞ!それに、俺とナノが死んでいいのかな?今まで、適合者がいなかったんだろ?俺が死んだら研究が進まないぞ」
ミナトは、両腕を上げて大欠伸をした。そして、マッドサイエンティストが語っていた最初のところから全て話を聞いており、責め立て始めた。
『ご主人様!お目覚めになられたのですね!ナノはナノは......ずっと心配しておりました。そして、やはり嘘を付いていたのですね!』
「フッ、私が、そのような脅しで狼狽えるとお思いですか?代わりならまた探せばいいのです。次は、従順な者を用意致しますよ。さぁ、どう致しますか?」
「そっか。なら、もう一回寝よう。ナノも、ゆっくりしてていいぞ。こいつは、最後のチャンスを棒に振るったんだからな」
マッドサイエンティストは、一切焦る様子を見せていない。ナノは、このままではミナトを助からないと焦るが、何故か張本人のミナトは、一切焦る様子もなく、逆転の手札が残されているかのような言葉を返した。
「探したぞ!俺から、無断で連れ去りやがって!腐った性根を叩き直してやるわ!その前に、ミナトを早く治しやがれ」
「闘拳神......何故貴方が、ここにいるのですか!?ギャァァァ」
最初に、ミナトを鍛え直そうとした神様が現れて、マッドサイエンティストの頭を鷲掴みにして握り潰そうとするのだった。
相棒ナノと冒険者から成り上がる〜人の優しさを異世界で知りました〜 芽狐 @mekomeron
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