天命を果たしてなお忘れ得ない本分と、ほんの微かな未練

 本来なら物言わぬはずの子供向けおもちゃ、その視点から綴られる物語。
 の、その晩節というか役目を果たした後というか、いわば「それから」のお話です。

 合体ロボのおもちゃが主役のお話なのに、しんみりしたシリアスな読み口なのがもうすごい。
 おもちゃの明るく楽しげな印象からすると意外というか、お話そのものはあくまで真面目で、とても読み応えがありました。

 侘しさや寂しさがもりもり積もる感覚が魅力なんですけど、同時に「不穏さ」のようなものまで感じさせてくれる話運びが本当に好き。
 一体どうなるのか、なにやら恐ろしい末路が待ち受けているのでは、と先を気にさせられるおかげで、ぐいぐい読んでしまいました。

 そして、そのうえでのこの結末。
 ネタバレになるので詳しくは触れませんが、最高でした。
 胸にじんと響く素敵な作品です。

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