火花
木船田ヒロマル
御手は闇を破り
どのくらいそうしていただろう。
闇の底で切れた電池を背中に背負い、断線した回路を胸に
光が闇を切り裂いた。
巨大な手が伸びてきて、ぞんざいに私を持ち上げた。
私はアリエカイザー。
かつて日曜朝にテレビ放送されていた子供向け特撮番組「異星戦団アリエンジャー」の合体ロボ。その
とはいえ、私の
出演していた番組が終わり次の番組が始まった頃は、
持ち主は私を手に入れた時は心から喜び本当に大切にしてくれた。だが同時に男の子らしい無茶というか乱暴なところもあり、彼は私を用いての戦いごっこの中で他の
輝かしい時代は短い。
そして暗い時間は長かった。
だがその長い暗闇の時間に今、大きな変化が訪れた。
見れば私を持ち上げたのは持ち主の母親で、彼女は私やメックキング、変身ベルトや光線剣、ミニカーや怪獣の人形などを次々と大きな紙袋に放り込み始めた。
ついにその時が来たか、私は思った。
持ち主に忘れられるのが
そして、捨てられるのが本当の死だ。
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