鎮魂歌いまだ響かず
だが私は穏やかな気持ちだった。
生まれたものはいずれも死に、形あるものはいずれもそれを失う。なにものも、その定めから逃れることはできない。
肩を並べて戦いの日々を過ごしたメックキングが一緒なのもどこか心強かった。
与えられた役割をやり切った、寂しさと清々しさがないまぜになったような心地が、もう二度とは鳴らないだろう私の胸の内蔵スピーカーの辺りを満たした。
母親は私たちを詰め込んだ紙袋を持って家を出た。照りつける日差しは紙袋の中の温度を瞬く間に上昇させて、私は外の世界が夏であると知った。
バタン、ガシャ。
キュルキュル……ウォォン ……
スターターを回す音。排気量の小さいエンジンの振動。今は車の中──どうやら助手席だな。
成る程。
回収日ではないのにわざわざゴミ処理場に直接持ち込んで廃棄しようって寸法か。
彼女にとって我々遊ばれなくなった
私のその考えは一面では合っていたが、また一面では間違っていた。
彼女が車を走らせた行き先は、ゴミ処理場ではなかった。
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