僕の情緒をグチャグチャにした素晴らしきダークファンタジー

ネタバレ注意⚠️(未読はお帰り!)


 世界観設定、戦闘描写、ヒューマンドラマなど、異世界ファンタジーとしての要素がどれもが一級品であり傑作と言って差し支えないでしょう。


 良いファンタジーは上記の要素が複雑に絡み合っています。
 レビュー経験の浅い自分が節操なしに良い所を挙げていくと、ヒューマンドラマの説明をしていると思ったら世界観に触れていたり、作品独特の雰囲気を褒めようとすると複数の理由があったりして大変なので、自分の中で整理出来た内容を書かせて頂きます。
 それでもまぁ長くなることはご容赦ください。

 本作品には他のカクヨム作品と比べ明らかに飛び抜けている部分があります。
 ズバリ“シビアさ”です。
 これは程度の話かつ、数字に置き換えられない事柄です。故に主観で述べるしかないことでありますが、僕はハッキリと「この世界一番ヤバイって。厳しいって。」と宣言できます。
 ファンタジーにおいて読者は主人公の軌跡を追体験します。したがって、読者の感じる世界観の厳しさは、主人公が遭遇する逆境の数と質に比例します。
 最新話まで読んでいる方はピンとくるはずです。取り返しのつかない出来事があったことに、、、。
 ゴトーは強メンタル系主人公です。彼は幾つもの絶望を乗り越えてきました。その度に強敵にギリギリで勝ち、僕はゴトーに共感し喜び、主人公としてこれから色々なものを積み上げ、それ等を守りきるだろうと、勝ち続けるだろうと僕は信じてきました。
 物語なのだから、1%を手繰り寄せつづけるはずだと……フィーネが死んで、今までそんなご都合展開に安心していたことに気づかされました。
 本作では敵対勢力にも魅力的なバックボーンが描かれており、彼らはその世界に確かに息づいています。
 ゴトーが命を削り合う者たちはゴトーと同じくらい頑張って生きてきました。それをゴトーらは殺すのです。当然、逆も有り得ます。主人公の半身だろうが関係ありません。死ぬ時は死にます。
 こういった現実的な“シビアさ”は得難い上に活用が難しいものだと思います。
 登場人物一人一人に命を吹き込むことや、彼らをしっかり活かす展開など、作者様の様々な工夫が結集した結果、本作では一つ一つの苦難が読者と主人公両方に多大な影響を与えるような意味とインパクトを持っています。
 読み手としてはいとあはれ。非常に多くを感じ入ることが出来て嬉しい限りでしょう。

 こうして本作を振り返ると沢山言いたいことが出てきますね。
 例えば僕は今本作について、何もかもを奪われたとしても、振り出しに戻るわけではないということに、厳しさと希望を感じています。
 失って最初と同じ一人ぼっち。だけど、死者が残したものが確かに在るということは、燻る人には厳しさを、前を向いた人に希望を与える。勝手ながらそんな風に思えます。
 なので、R2D2さんのフィーネ殺しの罪を辛うじて許せます。彼女が無駄死にになることはないと信用しています。裏切ったら分かりますね?(´・ω・`)

 再三言いますが、間違いなく傑作です。同志達よ、この作品を頑張って盛り上げていきましょう。


 作者様〜レビュー書きましたよ!
 めっちゃ何度も添削したんですけど、どうにも拙い気がして嫌になりますね。やはり作家の皆さんはすごいと思います。

 本作に出会ったとき、心の琴線に触れるものを探してWeb小説を漁ってたら、いきなり弦を引きちぎられた〜みたいな気がしました。サイコーにハイってやつです。これまで読んできたWeb小説でtop5に絶対入ります。
 作者様はハッピーエンドを謳っておいでですが、この世界観でそんな結末にたどり着いたとしたら、実に異質で鮮烈な物語と言えるでしょう。作者様、、、やれるものならやってみんさい!!!
 心から応援しています。