サンキャッチャーのお客様

それはどう見ても硝子で、しかし何かにつけ光を放つのであった


「ご覧になりますか」と

その人は言った


私が頷くとその人は窓辺に腰掛け

顔を傾けた


部屋に飛び散る虹のカケラ


光を内包する透明


目に見えぬものを可視化する平面


そのどれもが皆知っていて、意識しないモノ



私はそっと手を差し伸べる


手のひらで踊る小さな7色


その人は微笑んだ


きっと微笑んだ


手の中の光が笑ったから


きっとそう


だから私も微笑んだ


雨上がりの空を眺めるように





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