粘土のお客さま

「すべての物は本物でなければならないと

思い込んでいるお客様がいらっしゃいます

それも一つの答えでしょうが

宝石などは本物のほうが素っ気ないこともありますし

偽物であるからこそ

できる表現もあるでしょう」


そう言って彼は

粘土ベラを器用に使い

あっという間に

マカロンを作ってみせた

クリームの間にキラリと光る

キュービックジルコニア

「食べられないのなら

食べられないものの中でも

とびきり美しいものを

トッピングしても良いでしょう?」


いたずらっ子のような声で

囁く

その彼の

首から上に乗っているものが

果たして

「何」だったのか

異型頭だらけの

この喫茶店では

あまり気にしては

いけないのかもしれない

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