クランメンバーその他主要登場人物のその後&あとがき


※【邪神】討伐後、各組織、登場人物たちがどうなったか、どうしたかを簡単に紹介します。



・クラン≪木剣道≫

【邪神】討伐後、神殺しの英雄として方々から称えられる。ネクロニア評議会と【封神四家】連名の公式発表、および新聞や書籍などで、【邪神】討伐に関わる経緯などが、と共に語られ、その名声は全世界規模に高まる。

 評議会、四家から多額の報奨が与えられる。

 その後、【神界】を掌握した『木剣神ルシア』により、かつての【神骸迷宮】は≪大変遷≫後、さらに改変され、およそ半年後に新しい迷宮として生まれ変わる。

『木剣神ルシア』の権能の影響か、それとも何処かの職人から要望でもあったのか、貴重な植物系の素材やドロップが多く手に入る【神樹迷宮】がオープン。

 迷宮オープンからさらに1年後、クラン≪木剣道≫が【神樹迷宮】の初踏破者となる。

 そして迷宮踏破を機に、≪木剣道≫は解散する事となった。


・【封神四家】

 クロノスフィアと【小神界】を失った四家は、ブレイン・サポート・デバイスと空間魔法をも失った。だが同時に、【邪神】が消滅したことで、長きに渡る使命からも解放された。

 力を失った四家は、自発的に【封神四家】という血族組織を解体し、ネクロニア評議会に対する議席優先権など、多くの特権も手放すことにした。

 だが、長きに渡ってネクロニアの支配者として君臨してきたのは伊達ではなく、ある程度の権力やコネクションを堅持している。他、四家はそれぞれに蓄えていた資産を使用し、事業に乗り出した。


・ネクロニア評議会

【封神四家】の自発的解体によって、名実共にネクロニアの最上位統治機関となったが、そのことを喜ぶ者は少なかった。

 四家の庇護を失ったため、自分たちだけで都市の独立を守るべく、軍事力や治安維持機構の増強を余儀なくされる。

 また、この際、ネクロニアを狙って蠢動する周辺諸国の工作員などに対処するため、元高位探索者たちを中心に、特務執行機関『秩序の剣』が組織された。


・≪バルムンク≫

 パーティーとしてはクラン解散後に、同じく解散した。

 リーダーであるカラムは木剣工房『木剣道』に職人の一人として所属。巨匠ウッドソード・マイスターの高弟の一人に数えられる。

 そしてパーティーメンバーの火術師の女性と結婚した。

 同時期、他パーティーメンバーは、それぞれ軍とギルドにスカウトされ、探索者としての活動を終了した。


・≪火力こそ全て≫

 クラン解散後、しばらくはパーティーで探索者を続けた。その傍ら、女性探索者を積極的に支援――というか助けていたら、予想外に人が集まり、女性だけの探索者クラン≪世界一火力≫が爆誕する事となった。

 女性だけの華やかなクランということで民衆人気も高く、探索者活動以外に、魔法を使ったエンターテイメントの興業なども行うようになる。

 歌って踊れて空も飛べてパンチラも拝めるアイドルとして、一世を風靡した。

 後年、開発されたばかりの動画撮影機により、≪世界一火力≫初代団長クレアの興業とパンチラが、歴史的資料として長く残り続けることになる。


・≪紳士同盟≫

 クラン解散後、パーティーも解散した。

「シリスキー」「スメルラバー」「熟女マニア」「美脚ペロリスト」「おっぱい星人」の五人は、「全てのフェチズムを満たす!(ただし法に背かない範囲で)」をテーマに、ネクロニア歓楽街にて大人のテーマパーク『紳士の館』を共同出資共同経営で開業し、大成功する。その過程には、彼らの成功を快く思わないマフィアたちとの抗争などもあったのだが、仮にも神殺しの英雄たちの一員である変態紳士たちには敵わず、一時期、マフィアの数が激減する事となった。

 一方、メンバーの一人、「幼児の守護者」は探索者として得た私財を投じ、ネクロニアで孤児院経営に乗り出す。

 その紳士的な人柄と孤児たちへの手厚い支援から人格者として名高い。後年、その社会的貢献が認められ、「子供たちの守護聖人」として教会から讃えられる。

 そんな彼の活動初期、そばにはいつも、高度な経営知識を持ち、彼の私生活から孤児院運営までを精力的に支える、紅顔の美少年の姿があったという……。


・≪酒乱の円卓≫

 クラン解散後、パーティーはそのまま存続したが、リーダーだけが探索者を引退し、ギルド近くに大衆酒場『酒乱の円卓』をオープンした。

 他メンバーは酒代を稼ぐため、ほどほどに探索者を続けていたが、後に酒場を手伝う者、ギルドや軍で戦技教導官として雇われる者、至高の酒を自らの手で造り出すため、世界各地の酒造職人たちのもとへ弟子入り修行に赴く者など、それぞれの道を歩み始めることになる。


・≪剣舞姫に蔑まれ隊&踏まれ隊≫

 推しの結婚&出産というショックから何とか立ち直った彼らは、クラン解散後、新たな女王様を求めて他国に旅立つ。

 その先々でトラブルに巻き込まれ、英雄としての力を振るう。特に東方諸国では多くの記録が残っており、「王女を救った8人の子ブタ」や「8人の賢者」、「1万対8人」など、後世まで残る童話や小説の題材となるほどの活躍を残す。

 彼らが結局どうなったのかはどの歴史書にも記されてはいないが、ネクロニア歓楽街の『紳士の館』系列のSMクラブでは、小太りの八人組の姿が、度々目撃されていたようである。


・≪バスタード≫

 クラン解散後、オーウェンを除く他メンバーは、しばらくの間、探索者を続ける。その後、軍やギルド、商会護衛などにスカウトされ、それぞれ手に職をつけることになった。

 オーウェンはカラムと同じく『木剣道』の職人となり、巨匠の高弟、直弟子として後世に名を残す。

 ちなみにクラン解散から5年後、ザラと結婚した。


・≪シルフィード≫

 彼らはクラン解散後も探索者を長く続けることになった。

 リーダーであるザラはオーウェンと結婚。暇があるとなぜか工房に入り浸り、フィオナのそばに侍ったり、迷宮探索に誘ったりした。

 クラン解散でフィオナと疎遠になることを恐れていたらしい。だが、木剣職人の道には進みたくなかったようである。

 オーウェンとの結婚理由が、旦那を理由に工房に足を運びやすくしたり、フィオナと会いやすくするためだったのかは謎。


・≪ホーリーナイツ≫

 クラン解散後、色んな国や地域、色んな人々からちやほやされたいがために、各国各街、ネクロニア以外の迷宮都市などを巡り、それぞれで探索者として活動する。

 他、自分たちの半生や活躍を記した自叙伝なども出版。神殺しのクランメンバーとしての名声も手伝い、驚いたことにそこそこのベストセラーとなる。

 他人に優しくした方が簡単に名声を高められ、かつ評判も良いので外面が良く、クラン≪木剣道≫のパーティーの中でも、個人としてはともかく、パーティー単位では最終的に一番名が売れることになる。

 だが、クレアたちが立ち上げたクラン≪世界一火力≫が自分たちよりも有名になったことに嫉妬し、何かと対抗心を燃やすようになるのは別の話。


・≪ウッドソード愛好会≫

 クラン解散後、迷わず木剣工房『木剣道』で職人として働く道を選ぶ。

 巨匠ウッドソード・マイスターの直弟子にして高弟として有名。後にカラムやオーウェンともども独立を許可され、独自の木剣道を極めていくことになる。

 また、それだけでなく、戦闘技術も剣士としての≪極剣≫の正統後継者と謳われ、剣士としても非常に高い評価と逸話を残す。

 師であるアーロンやフィオナと共にイーリアス共和国にカチコミしたり、アーロンが転移門実験の失敗から巻き込まれた帝国北部内乱事件などでは、師の下に駆けつけて助力した結果、帝国北部地域などで「鬼刃五人衆」などという二つ名が残っている。

 木剣職人としてだけでなく、自らの弟子たちに≪極剣≫の正統剣技をも指導し、迷宮から良質な素材を自力で調達できる木剣職人を、大勢育て上げた。

「木剣道流剣術」の開祖はアーロンだが、系統立てて後世に伝えたのは彼らの功績が大きい。


・≪グレン隊≫

 クラン解散後も探索者としての活動を続けていたが、解散後半年ほど過ぎた辺りで、活動を中止することになる。

 子供が出来たグレンは実家であるローレンツ辺境伯家へ帰還し、パーティーメンバーたちもついて行った。

 後に爵位を得た結婚相手と共に別家を立て、その高い戦闘能力を遺憾なく発揮し、辺境伯家に仕える。

 元パーティーメンバーたちも同様に辺境伯家へ仕え、グレンとの愛人関係も続いた。


・≪鉄壁同盟≫

 クラン解散後、探索者としての活動を終了し、メンバーはキルケー家に仕えることになる。

 しかし解散後半年ほどを過ぎた辺りで、ガロンはキルケー家に暇を申し出ることになった。

 というのも、グレンが妊娠したからであった。

 たまたま酒場で一緒になったグレンと酒を飲んでいたガロンは、酔いと雰囲気に流されてグレンと一夜を共にした。そしてそれがストライク! 実はバイであったグレンは妊娠し、ガロンには「一人で産むし気にしないで良いよ!」と言い残して実家へ帰ったのだが――――もう娘は一生結婚などできないだろうと諦めていたグレンの父、辺境伯がこのチャンスを逃すわけがなかった。

 グレンに子供の父親のことを聞き出すと、辺境伯家の家令を派遣し、グレン妊娠の事実を知って動揺し、ゲイル夫妻に助けを求めている最中だったガロンを確保した。

 すぐにキルケー家との話し合いを纏められ、ガロンは辺境伯家へとドナドナされていった。

 グレンとの結婚後、辺境伯家の騎士団に入団し、しばらくして団長となる。ちなみにグレンも入団し、副団長となった。

 後に功績をあげ、男爵位を賜る。

 妻であるグレンだけでなく、複数の女性(グレンの愛人たち)とも一緒に暮らしているため、辺境伯領内にある他貴族家からは「辺境伯の娘を娶ったのに節操なく他の女にも手を出すハーレム野郎」と、しばらくの間、白い目で見られていた。

 間違いなく≪木剣道≫メンバーで一番可哀想な人物であるが、夫婦仲は意外と良好。


・≪白百合乙女団≫

 クラン解散後、姉にして母たる存在をNTRされた彼女らは、しばらくは探索者として活動を続けるも、喪失感を埋めるため、あるいは自分たちの理想郷である白百合の花園を築くため、探索者を引退して学校経営などに乗り出す。

 スタンピードで被害を受けた場所の内、再開発が滞っていた土地を纏めて買い上げ、白百合たちが咲き誇る学院を開校した。

 理想の姉にして母たる存在を手に入れることはもはや叶わない。ならば作り出そう。丁寧に手入れした花園の中から、いずれそんな存在が生まれることを夢見て。

 今日も彼女たちは花園の中に「お姉さま」の幻影を探す……。

「はぁ~っアイクルたんアイクルたんアイクルたんっ!! 最近は仕草や性格もお姉さまに似てきて、しかもあのポニーテールがお姉さまを彷彿とさせるから、私はっ、もうっ、くぅ~んっ!!!」


・『木剣神ルシア』

 木剣と木剣職人を司る最新にして最強の神。自由意思を持つ唯一の特異な神であり、【邪神】討伐後、閉ざされたままだった【神界】を開放した。

【神界】の知識やブレイン・サポート・デバイス、特に空間魔法は今の段階で無制限に開放すると、破滅的な混乱が起こると予想し、【封神四家】の当主たちと相談の上、段階的に開放していくと決定する。

 今は各国に【神界】という存在の受け入れを準備させる目的で、各国指導者層の一部にブレイン・サポート・デバイスを開放し、【神界】というシステムがどういうものかを学ばせている段階。

 一方、【神界】の力を独占しようと企む輩も一定数いるので、そんな存在を排除するため、ルシア神は協力者を「使徒」として任命し、デバイスを与えている。

 他、上記の不届きな輩に狙われる理由のある人物には守護する目的でデバイスを与えた。

【神界】を開放した神でもあり、自由に動けるという理由で積極的に人間たちと交流しているからか、本来の【神界】最上位者である『太母ミリアリア』を差し置いて、「最高神」などと呼ばれている。


・『太母ミリアリア』

「解せぬ……」


・ローガン・エイブラムス

 事実上【封神四家】側の工作員として秘密結社クロノスフィアに所属していたものの、犯した罪は決して小さくなく、ローガン・エイブラムスという存在は表向き葬られた。

 しかして本人の類稀なる戦闘力を惜しんだネクロニア評議会政府により、新設された特務執行機関に引き抜かれ、任務をこなす事と引き換えに処刑を免れる。

 以後、『秩序の剣』の実行部隊隊長として剣を振るう。

 ちなみに【邪神】討伐において失った『剣聖』のジョブは、教会で再度取得することができた。


・エイル・ハーミット

 ローガン同様の理由で、『秩序の剣』に所属することになる。ジョブの再取得も同様。


・イオ・スレイマン

 クラン解散後、「このままでは奴に勝てないッ!!」と言い残し、ネクロニアを出奔して修行の旅に出る。

 世界各国を巡る道中、【神界】開放の影響に伴う新時代の動乱に各地で名を残すことになる。

 功績を挙げた先々で引き留められるも、その際、断りの文句として口にされた「私には倒さねばならない宿敵がいる」という話はあまりにも有名。

 その話から想像される事情から、「孤高の復讐者」の二つ名で呼ばれ、後世、彼を題材にした復讐の物語が様々な媒体で語られることになるが……その宿敵が神殺しの英雄たる≪極剣≫だという話は知られていない。


・レディ・ローズ、またの名をクロエ・カドゥケウス

 次々と意欲的に作品を発表し、その全てが大ヒットを記録した超売れっ子作家。

 後世の文学界に多大な影響を与えた。

 仮面で顔を隠した全属性使いの魔法使いや、仮面で顔を隠したやたら強すぎる剣士に命を狙われながらも、なぜか最高神ルシアに再び与えられたブレイン・サポート・デバイスと空間魔法を駆使して逃走を繰り返し、生涯に渡って執筆を続けた。

「わ、私は表現の弾圧になんか屈しないんですぅっ!! ペンは暴力より強いということを教えてやりますよぉうっ!!」

「何をさも正義は自分みたいなこと言ってやがんだコラァッ!! 魔女が! 明らかに俺たちをモデルにしたような登場人物を出すのをやめろッ!!」

「魔女の本は全て焚書しろ! 出版社は今すぐ絶版しろ! 一冊残らず自主回収して処分しろ!!」

『……クロエ、安心すると良い。文学の未来は……私が守護まもるっ!!』


・エヴァ・キルケー

【封神四家】としてのキルケー家が解体された後、幾つもの会社を興す。

 交通や流通を便利にするため、転移門の開発と普及や、ストレージ・リングの再現を目的に、その研究開発に大金を投じる。結果として、ルシアから【神界】の知識を一部開示してもらい、空間魔法付与とは製造方法の異なる、空間術師がいなくとも作れる転移門とストレージ・リングの開発・量産に成功し、事業は軌道に乗る。

 その際、転移門稼働実験の失敗でアーロンを帝国北部の迷宮へ全裸かつ無装備で跳ばしたりもしたが、順調に転移ステーションの普及を推し進める。

 また本人はルシアの「協力者」に選ばれ、失ったブレイン・サポート・デバイスと空間魔法を取り戻した。

【邪神】討伐後、兄が死んだと聞かされ沈んでいたが、自分以上に兄の死を父が悲しんでいるのを目の当たりにし、子供に対する愛情が確かにあったと知って、険悪だった父娘関係を改善する。

 そしてそれはそれとして、事業拡大のために容赦なく使い倒した。






 ★★★以下、あとがき★★★


 というわけで、【邪神】討伐後からエピローグの間、またその後と、外伝的なストーリーの余地を残しつつではありますが、「極剣のスラッシュ」はこれにて完結ということになります。


 機会があれば、外伝的なものを投稿するかもしれません。


 まあ、それはともかくとして。


 最後までお読みくださった皆様、本当にありがとうございましたっっっ!!!


 そしていつもコメントくださっていた皆様には、大変励まされました!


 改めて、本当にありがとうございました!


 マジな話、読んでくれる皆様がいなければ、完結まで書くことはできなかったでしょう。


 実は「極剣のスラッシュ」は短く終わらせるために舞台をほぼほぼ一つの都市に限定していたのですが……それがまさかここまで長くなるとは……。


 未発表作品を含めて、今まで書いた中でぶっちぎりに長い物語となりました。


 次に書く話ではもっと短く纏め、テンポ良くストーリーを進めていきたいですね!(願望)


 というわけで皆様、最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございました!


 また新作で会えましたら幸いです!!(・ω・)ノシ



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【完結】極剣のスラッシュ ~初級スキル極めたら、いつの間にか迷宮都市最強になってたんだが~ 天然水珈琲 @tennensui297

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