♯8 宿命の超対決! 無職兄vs奴隷妹!
「ついにこの時が来たようだね、お兄ちゃん」
ドンッ!
「お前とはいつかこうなる気がしていた」
ドドンッ!
「私が勝ったら、お兄ちゃんは私の返品を諦めて私と結婚する。お兄ちゃんが勝ったら私が返品されるのを諦める。それでいい?」
「よくねーよ、なにしれっと余計な条件つけてんだよ」
「ぷぷぷ、それは私に勝つ自信がないってことかなお兄ちゃん」
「なにぃ!?」
ゴゴゴゴゴゴ。
「私のスキルは
「すぐバレる嘘つくな、契約したときにお前のステータス全部見えてるって言っただろ。仮にそのスキル持ってたとしてもそもそもが魔法覚えてないだろお前」
「……ぐっ」
ズバッ! 妹に10のダメージ。
「じゃ、じゃあお兄ちゃんはどんなスキル持ってるのさ!」
「ふっ、ついに俺の封印されしスキルを解放するときが来てしまったか! 俺のスキルは
「つ、強そう! お兄ちゃんのくせに!」
「このスキルがあると、お店で買い物するときに全部の商品が5%引きになる」
「へ?」
「ふんっ、チートスキルとまではいかなくて素晴らしいスキルだろ。羨ましくて声も出ないだろ」
「……お兄ちゃんはそもそもお金がないから、そのスキルを使うときないよね? しかも5%ってしょぼ」
デュクシ! 兄に20のダメージ!
「お、お前を買った時の5%は大きかったんだぞ! 凄い高額だったし!」
「えー、5%って誤差の範囲内じゃなの?」
「そんな大雑把だからお前は昔から金が貯まらないんだ!!」
ドゴォオオ! 妹に20のダメージ!
「ぐぐっ……。転生前のことを言いだすのは卑怯じゃないかなお兄ちゃん!」
「真剣勝負に卑怯もクソもあるか!」
「な、なら私だって!」
妹が攻めの構えを見せた!
「お兄ちゃんが私の楽しみに取っておいた冷蔵庫のプリンを食べた!」
「……美味しかったよ?」
「お兄ちゃんが一緒に学校通ってくれなくなった!」
「年頃になったら普通じゃね?」
「お兄ちゃんが私のあげた誕生プレゼントを無くした!」
「だからそれは悪かったって何度も言ってるじゃん、シャーペンって使ってたらどこかにいっちゃうんだもん」
妹の怒涛の連続攻撃!
兄にダメージはないようだ。
「ぐぬぬっ! 全然効いてない! お兄ちゃんに人の心はないの!?」
「あるに決まってるだろ! お前は俺のことを何だと思ってるんだ!」
「ただのお兄ちゃん」
そんな戦いを繰り広げていたら、急に妹がくっくっくと不敵な笑みを浮かべはじまった
「その余裕はいつまでもつのかなお兄ちゃん、私にはさっき入手した
「なん…だと……」
「……それでお兄ちゃんは私のどこがお気に召したのかなぁ。随分と高い買い物だったねぇ」
ズバババババッ! 兄にクリティカルヒット!
兄に100のダメージ!
「お、お前、家族の
「真剣勝負に卑怯もクソもないって言ったのはお兄ちゃんだよ」
「お前に武士の情けはないのか!」
「いいから答えなよ、お兄ちゃん」
「……ぐぅ!! このままではまずい!」
ピキーン!
――その時、不思議なことが起こった!
なんと、追い込まれた兄にもう一つのスキル! “開き直り”が
「いいか、まずお前の顔が俺の好みだった……」
「ほうほう」
「その栗色の髪も俺の好みだったし、長いまつげに赤みがかかった大きな目。細い眉毛にちっちゃなお口、柔らかそうなほっぺ、真っ白な白い肌、そのあどけない顔の全てが完璧だった」
「ちょ、ちょっと!」
「体つきだって俺の理想だ。
「まままま待って! それ以上は待って!」
「布切れから時折見せる生足には少しドキッとさせられるし、かがんだ時にたまに見える胸チラだって最高だ」
「ま、待って待って! もう分かった! もう分かったから!」
「全てが俺の理想だったんだ!!! 全財産を使ってでもお前が欲しかったんだ!!!」
「きゅぅ~~」
バタンっ。
妹がノックダウン!
「……ハッ、俺は何を!」
「もう無理……やめてええぇぇぇ」
いつの間にか妹が倒れこんでいた!
「よく分からないけど、この勝負は俺の勝ちでいい?」
「ダメだけどぉ、ダメだけどぉ」
「……なに顔真っ赤にしてるんだよ、お前汗っかきなんだからやめてくれよ」
「女の子に汗っかきとかいうのやめてぇ」
妹が俺の顔をちらっと見る。
「あっ……」
「なんだよ」
目が合ったのに何故かサッとすぐに目線をそらされてしまった。
……なにその反応。
「と、とりあえずこの勝負は一旦私が預かるよ……」
「当事者の勝負預かりってなんだそりゃ」
割れた風船のように妹がしぼんでしまっていた。
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