揺れ動く時代の狭間で、どのような犠牲があったのか。(企画から来ました)

まず、私は歴史小説を読んだことはありません。その前提をご理解の上このレビューを読んでいただきたい。

非常に勉強されたのだなと一目でわかる作品だと感じました。船の形や寸法、現代に生きる私には馴染のないものが、さも当然のように出てくる。これは読みにくさにも繋がりかねませんが、キャラクターが生き生きと動くので閉塞感を感じませんでした。

そんなものよりも、もっとこの時代の事を勉強しておけばよかったと後悔が頭をよぎりました。歴史に詳しくもなく、ライトノベルに親しんだ私にはこの小説の魅力の3割も理解できていない実感があります。それでも、時代の空気を感じられる作品です。

時代の空気を感じるのは、非常に細かな風景描写のおかげだと私は感じます。先ほど挙げた船の形などもそうですが、キャラクターのしゃべり方一つとっても今とは違うものを感じます。

私などは風景描写を出来るだけ排除した文章を書いてるので余計に思ってしまうのですが。綺麗な風景描写というのは綺麗です。

総じていい作品です。もっと歴史について造詣の深い方なら、歴史について知っている分だけ楽しめる作品だと感じました。

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