概要
氷雪のような美貌の海賊船団副大将は、睥睨する
「日本という島国の領土ごときを、国とよび
一〇〇年超えて狭い陸地を奪い合う、陸将とかいう者どもに
我ら海賊が従う理由は、なにひとつ無い」
後に名乗っていない英雄の名を口伝され「幸村」の名になる真田源次郎信繁・17歳。
同時代・戦国の海洋にキャラベル船・キャラック船をも加えた船団をはしらせる海賊軍師、望月20歳。
ふたつの力の出会いを、新緑色の瞳に陽射すような笑みで眺める混血児17歳の由利は「ひとめ惚れ」した望月を救い、帆船団を手に入れる困難へ向かう。乱世の権力中枢で独特器用に人質をこなす真田源次郎、海賊衆、戦の国で世界をしるものたちと!
「—— という感じだ、恋に堕ちるしだいぶ殺されかける
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!時代小説を超えた新時代のエンタメ小説ここにあり
船出という言葉がピッタリの本作、読み始めると圧倒的な文章力に誘われ、小説世界を旅することになります
それが何と心地よい冒険であることか
源次郎(幸村)、由利、望月という三人の登場人物たちを中心に展開する物語は、息をするのも忘れるほどエキサイティングでとてつもなく面白く、スクロールする指が止まらなくなります
繊細かつ大胆な驚異の表現力、心に染みる巧みなエピソードの数々、魅力の権化のごときキャラクターたち、どれをとっても超一流の満足感を与えてくれる大傑作です
どうぞ、あなたもご一緒に船出してください
想像を超えた素晴らしい大海原がここに開けています - ★★★ Excellent!!!間違いなく面白い超大作。
煌めく人物描写、弾む文章、心踊る戦闘描写。この作家さまのリズムは、中毒になります。
間違いなく、面白い超大作。
ところで、あなたは、愛する人を救えますか?
誰か敵にさらわれた、それなら敵をなぎ倒し救い出せば解決です。
でも、この物語の「望月」は、心を失くすほど、心を見えない鎖で捕らわれています。
傷ついた心。闇に沈み込み、言葉さえ届かない。
そんな愛する人の心を、どうやって救いますか?
由利は逃げない。望月の心を、救うまで。
険しい道です。ラストまで、手に汗を握ります。
由利は強靱で肉食獣のような筋肉を持ち、きらつく瞳が印象的です。
心が明るく澄んでいるからで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!魅力溢れる物語に引き込まれてしまう
この物語は大海原と海賊船を中心に描かれた壮大な戦国ファンタジーです。
読んでいると大河ドラマのような映像が脳裏に浮かんで、作者さんの文章力の高さを感じます。
途中で他の方のコメントを見ましたが皆さん同じ事を書いていて、やっぱりそう感じるんだな、と納得しました。
物語のスケールが大きくて、このまま大河ドラマになってもおかしくない作品です。
惹かれるのはとにかく魅せる文章で、型にはまらない表現力に魅了されました。
最初は歴史、戦国の文字が目に入ったので難しい物語なのかなと思いましたが、登場人物達のキャラクター性が豊かで、文章のテンポもいいのですらすら読めました。
1章の話数が少ないので、読み…続きを読む - ★★★ Excellent!!!船と歴史上の人物への愛と
戦国ファンタジーです。
まず、文体に個性があり、そこから惹き込まれました。
雨が降るシーン、雪が降るシーンの文字の並ばせ方、
波の音、雀の鳴き声の表現方法、見事です。
活版印刷で、文字を一文字一文字拾って組み合わせていたころ、
わざと文字の向きを逆さにしたりして印刷した、という逸話を思い出しました。
台詞の区切り方やカタカナの使い方も、臨場感を出していてよかったです。
そう、臨場感と迫力のある物語でした。
それでいて、切なく美しくもある。
何より、船と歴史上の人物への愛が感じられました。
わたしも歴史、大好きです!
船も好きですがただ好きなだけ(笑)。
ファンタジーですが、きちんとした知識…続きを読む - ★★★ Excellent!!!歴史に通じていなくても
スケールのでかさがきっちり伝わってきます。
文体までもが、きっちり世界観の補助として利用されているため、私のように歴史に疎い人間でも、というかむしろ疎いからこそ惹き込まれるのかもしれません!
大海原を主軸に置いた物語なのですが、波の表現はもちろんのこと鳴き声等も間を取ることで読み手の耳に作者様が伝えたいであろう音が響いてくるようでした。
また、表現だけでなく、読み進めていると描写と会話文の緩急のつけ方が抜群に上手いと感じます。流れで読んで欲しいところ、じっくりと額に汗を溜めながら読み込んでほしいところ、明確な意図をもって作成されていることが伝わるため、読んでいて飽きを感じることがありませ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!異彩を放つ語りに、歴史の幻想世界へ誘い込まれる
最初、独特な語り口調に驚いたのですが、読んでいくうちに、私の頭の中では歌舞伎かオペラのように舞台の幕が上がり、戦国時代の人々が朗々と台詞を語っていました。
登場人物の描写の美しさ、まざまざと立ち上がる鮮やかさ、みな一人残さず印象に残るのが素晴らしいです。
そしてここぞという時に使われる擬音がズンと腹の底に響きます。
何度も読み返したくなる台詞に酔います。
そしてなによりも、海を駆け抜ける帆船の描写がカッコ良すぎて私のツボを突き刺しました。
好きなポイントがありすぎて全然まとめられませんが、要は、とにかく読んでいただきたいってことです!!