船出という言葉がピッタリの本作、読み始めると圧倒的な文章力に誘われ、小説世界を旅することになります
それが何と心地よい冒険であることか
源次郎(幸村)、由利、望月という三人の登場人物たちを中心に展開する物語は、息をするのも忘れるほどエキサイティングでとてつもなく面白く、スクロールする指が止まらなくなります
繊細かつ大胆な驚異の表現力、心に染みる巧みなエピソードの数々、魅力の権化のごときキャラクターたち、どれをとっても超一流の満足感を与えてくれる大傑作です
どうぞ、あなたもご一緒に船出してください
想像を超えた素晴らしい大海原がここに開けています
煌めく人物描写、弾む文章、心踊る戦闘描写。この作家さまのリズムは、中毒になります。
間違いなく、面白い超大作。
ところで、あなたは、愛する人を救えますか?
誰か敵にさらわれた、それなら敵をなぎ倒し救い出せば解決です。
でも、この物語の「望月」は、心を失くすほど、心を見えない鎖で捕らわれています。
傷ついた心。闇に沈み込み、言葉さえ届かない。
そんな愛する人の心を、どうやって救いますか?
由利は逃げない。望月の心を、救うまで。
険しい道です。ラストまで、手に汗を握ります。
由利は強靱で肉食獣のような筋肉を持ち、きらつく瞳が印象的です。
心が明るく澄んでいるからです。
うっはー! と陽光のように笑う彼は、実は凄絶な過去を持ちます。
彼の人懐こさ、魅力に、まわりの人は惹かれていきます。人たらし。実に魅力的です。
是非、最後まで味わって読んでみてください。
この物語は大海原と海賊船を中心に描かれた壮大な戦国ファンタジーです。
読んでいると大河ドラマのような映像が脳裏に浮かんで、作者さんの文章力の高さを感じます。
途中で他の方のコメントを見ましたが皆さん同じ事を書いていて、やっぱりそう感じるんだな、と納得しました。
物語のスケールが大きくて、このまま大河ドラマになってもおかしくない作品です。
惹かれるのはとにかく魅せる文章で、型にはまらない表現力に魅了されました。
最初は歴史、戦国の文字が目に入ったので難しい物語なのかなと思いましたが、登場人物達のキャラクター性が豊かで、文章のテンポもいいのですらすら読めました。
1章の話数が少ないので、読み始めやすいと思います。ぜひ1章読んでみてください!
戦国ファンタジーです。
まず、文体に個性があり、そこから惹き込まれました。
雨が降るシーン、雪が降るシーンの文字の並ばせ方、
波の音、雀の鳴き声の表現方法、見事です。
活版印刷で、文字を一文字一文字拾って組み合わせていたころ、
わざと文字の向きを逆さにしたりして印刷した、という逸話を思い出しました。
台詞の区切り方やカタカナの使い方も、臨場感を出していてよかったです。
そう、臨場感と迫力のある物語でした。
それでいて、切なく美しくもある。
何より、船と歴史上の人物への愛が感じられました。
わたしも歴史、大好きです!
船も好きですがただ好きなだけ(笑)。
ファンタジーですが、きちんとした知識に裏付けられている物語だと思いました。
拍手!
スケールのでかさがきっちり伝わってきます。
文体までもが、きっちり世界観の補助として利用されているため、私のように歴史に疎い人間でも、というかむしろ疎いからこそ惹き込まれるのかもしれません!
大海原を主軸に置いた物語なのですが、波の表現はもちろんのこと鳴き声等も間を取ることで読み手の耳に作者様が伝えたいであろう音が響いてくるようでした。
また、表現だけでなく、読み進めていると描写と会話文の緩急のつけ方が抜群に上手いと感じます。流れで読んで欲しいところ、じっくりと額に汗を溜めながら読み込んでほしいところ、明確な意図をもって作成されていることが伝わるため、読んでいて飽きを感じることがありませんでした。
章の区切りも読み手にやさしく、細かく分けられているので、気になった方はぜひ1章3話分をまず読むことをお勧め!
この独特の世界観に浸るに十分な話数であり、思わず没頭してしまうと思います!
最初、独特な語り口調に驚いたのですが、読んでいくうちに、私の頭の中では歌舞伎かオペラのように舞台の幕が上がり、戦国時代の人々が朗々と台詞を語っていました。
登場人物の描写の美しさ、まざまざと立ち上がる鮮やかさ、みな一人残さず印象に残るのが素晴らしいです。
そしてここぞという時に使われる擬音がズンと腹の底に響きます。
何度も読み返したくなる台詞に酔います。
そしてなによりも、海を駆け抜ける帆船の描写がカッコ良すぎて私のツボを突き刺しました。
好きなポイントがありすぎて全然まとめられませんが、要は、とにかく読んでいただきたいってことです!!
この小説は最初の一節から、他の物語とは様相が異なっており、どの世界に踏み込んだかと思わず怯んでしまいます。
綴られる言葉は古文の様で、物珍しさに読み進めて行けば、描かれる戦国の個性豊かな熱い男たちの人間模様に文章がピタリと当て嵌まり、その世界観に引き込まれて行きます!
現代文とは違う、古文を読むような「音」と「言葉」の表現。擬音の一つひとつも丁寧に表現されており、それが独自の世界観を作り出すこのお話。けれど気付けば闊達に動き回る由利を追い、応援し始めている自分に気付きます。
既に最終話まで公開されておりますが、順に大切に追って行きたい物語です。
あまたの武将が天下統一を争う日本を「狭い島」と呼び、大海原を自在に駆け回る男たち女たちがいた――。その海賊に身を置きながら心囚われた者と、虜囚となりながら心は誰よりも奔放な者とが出会うとき、闊達な風が呼びかける。囚われた心を解き放て。そして風とともに水平線の向こうへと――。
はぜる炎、しげる緑、ごつごつした大地、積もりゆく雪、奔る鮮血、舞い散る花、網膜に刺さる空と海の青。風いっぱいにみなぎる帆、腹の底までゆるがす砲声、水のしぶき。戦国時代の豪快な荒々しさと、豊かな彩り、陰と光を背景に、魂が解き放たれる過程が、圧倒的な筆致で描き出される。ストーリーと裏腹に、読む者をとりこにしてしまう力作。
小春日和のような笑顔が魅力の槍使いの少年・真田源次郎(幸村)、赤髪で長身の混血児・由利、神官の装束を身に纏った中性的な海賊軍師・望月。
三人の魅力的な主人公が、大海原を舞台にして戦国の世を駆け抜けていく物語なのですが、既存の型にとらわれない文体がこの世界を生き生きと美しく表現していて、鮮やかな映像が目に見えてくるようでワクワクします。
望月の登場シーンは毎回本当に美しくて、由利が見とれるのも分かると思いました!
読み進めると、由利と望月の生い立ちの凄惨さに涙が出そうになります。そして、話が進むにつれて彼らの間に心の交流が生まれ、仲間たちがまとまっていく姿に胸を打たれます。
特に、軍師・望月を長年苦しめてきた強大な敵を倒すシーンは圧巻です。
また、三人の主人公がすごく若いのも新鮮でしたし、海戦にスポットを当てているのも目新しくて、とても面白かったです。思わず一気読みしてしまいました。
この後、源次郎と由利が望月兄妹の長年の心の傷を少しずつ癒してくれることを願いつつ、続きを楽しみにしております!