概要
あの秘境の地は私に、本当の愛を教えてくれた。
第二次世界大戦終結から10年が経った昭和30年代の東京の下町。元陸軍兵士の浦井直純は戦争で妻や子どもを失った。失意の中、終戦を迎えて、故郷である東京に帰還した後、職を転々としながら、20歳の頃から持ち続けている、自分自身が両性愛者(バイセクシャル)である事について、悩みながらも漠然と暮らしていた。30歳を過ぎた或る日、ふと訪れた鶯谷の繁華街の一角にあるローズバインという男色の者達が集まる店に足を踏み入れて、やがて通う内に働き始めた。やがてジュートという名で複数の男達と逢瀬を重ねていく内に、ある人物を探す様になっていた。店主であるローズママや恋仲になるナツト等と共に客人に頼りがないか協力してもらうことになった。店に次第に常連客にも慕われてきて、充実した日々を過ごしていた。ある日谷沢という人物が
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