敗戦の記憶が薄れはじめた昭和30年。男はその店に惹かれ、導かれるように働きはじめる。男色家が集うその店、ローズバインで。戦後の復興とともに、湧き出でることを止めることのできない荒々しく、激しく、男同士の情愛が描かれる。描写は熱く、硬質で、苦しみすらも猛々しい。一編のみで六万語を越え、読む人を選ぶ作品だが、熱い時代を堪能したい人に薦めたい。