かつて曼珠沙華の名を冠した少女は、陰謀渦巻く数奇な運命に挑むのか……。

第一章中盤まで読了した時点での感想です。

作品のキャッチコピーと内容の温度差(?)に驚いたのですが、丁寧で趣深い語彙によって紡がれた中華風ファンタジーを彩る世界観と、瞼の裏に浮かび上がってくるような各登場人物の容姿や心情の描写が緻密で素晴らしく、作者様の文学に対する造詣の深さが垣間見えます。

(他方で、当該作品は、中華風世界観を十分に理解するために一定程度の予備知識を求められます。固有名詞や難解表現には十分な説明が付されておらず、中国の文化や歴史に疎い僕のような人間にとっては非常にハードルの高い作品です。)

そんな作者様のことですから、独自の哲学に基づいた文章構成があるのでしょう。釈迦に説法だと理解しつつ、老婆心ながら申し上げると、個人的には平仮名が多くてかえって読みづらいと感じました(小中学生でも知っているような漢字が使われない一方で、難読漢字はルビを振って用いられているのに違和感がありました)。

ハッピーエンドを約束された少女が、これからどのような運命を辿り、恋焦がれる相手と結ばれていくのか──今後が非常に楽しみです。ゆっくりと拝読させて頂きます。

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