このブタ野郎、とそのプリンセスは言った。

　一見、ただのオーク。しかしてその実態は魔王軍のエリート。そんなオークのコブタは仲間とともに勇者のパーティを打倒、だがコブタだけが生き残り「女神の加護」を手に入れた。しかし、彼はもはや戦いに興味を失っていた。
　一方、勇者のパーティの唯一の生き残り、魔法王女のフィトは焦っていた。「女神の加護」を得ることに失敗したうえ、勇者たちは死んだ。そのまま帰れば、自分よりも王位継承権に近い姉王女たちに消されかねない。フィトはどうすれば自分の地位を守ることができるのか必死に考えた。
　「そうよ、このブタ野郎が勇者だってことにすればいいのよ！」