第六話 神隠し C

〝Ⅽ〟



 次の日の朝。

 僕は普通に学校へ登校していた。今日も霧咲皐月は登校してきていない。先ほど四組の教室の横を通ったのだが、藤岡瑠璃子はまだ来ていないようだった。もしかしたら休みなのかもしれない。

 しかし興味はなかった。いや、興味があったからこそわざわざ四組の前を通ったのかもしれないけど、それでもやはり大きな興味はなかった。

 今回、あまり収穫はなかった。

 まあそれでもわかったことをまとめると、最近神隠しに遭ったとされるその女子生徒には友人がいて、それが今回噂されていたあの人だったということ。

 これがはっきりわかったことである。

 ここから先は僕の勝手な憶測である。

 これも最近起こっている連続女生徒失踪事件が、〈神隠し〉と深い関係にあるかもしれないということ。それどころかイコールかもしれないということ。これも度の過ぎた考察かもしれないけど──、


 七番目の〈星の占い〉とも関係があるかもしれない。


 あのとき見つけたどこの人かもしれない少女の頭──あれは、〈神隠し〉にあってしまったその女子生徒のものかもしれない……なんて、本当悪い想像だな。


 まあ──本音を言えば、


「面白いな」

「おい、深崎。ちょっと来い」

 ホームルームが始まる前に、教室から顔を出して英語教師が僕に声をかける。僕はなんだろうと思いながら席を立って、先生のもとへ行く。

「なんですか?」

 そう尋ねると、手を差し出してきた。何かをよこせ、といったふうに。

 僕は先生の顔を見上げる。そこで僕は、

「ああ」

 手のひらに拳を打ちつけ、やっと理解することができた。

 僕はその人に藤岡瑠璃子から回収した、霧咲皐月の携帯とマスターキーを渡した。


   七不思議六番目・〈神隠し〉──了。

 

 

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〈GOTHIC+JUVENILE〉 静沢清司 @horikiri2

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