解釈違い、を勇気に変えて。

推し。皆さまにもいると思います。
同じ推しを持つ人が集まっても、意見が食い違うこともあるでしょう。そう、それぞれ解釈が違うから。推しが実在しない二次元のキャラクターであれば、なおさらです。

この物語には、そんな解釈違いが表れます。
主人公・迫田さんの推しは、漫画に出てくる『シュートくん』。公式絵の模写を繰り返す迫田さん、ちょっと強火のファンのようです。
彼女が思うシュートくんは『強いけれど孤高』、『それでも視野を広げ、他人を受け入れていくことで成長していく』かっこいい人。

物語のなかで迫田さんは、『他のファンが思うシュートくん像』を目にします。そして『自分のシュートくん像』が、自分だけの解釈だったことに気づきます。
今まで見ていたシュートくんは、ほかならぬ迫田さん自身が大事にする優しさ・かっこよさを映し出していたのだと――。

そのことに気づいた迫田さんがどのように『脱皮』を遂げるのか、それはぜひ、本文をご覧になり見届けてください。
誰もが通る思春期、互いに異なる価値観を抱えた子供たちがときに不協和し、ときに歩み寄ろうと試みる姿は、読者の皆さまが内なる勇気を出したい時の、大切なヒントになるかもしれません。

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