第14話 日光
「はい、王様。ガラス村を焼いたのは私ではありません。
私はただの村人ですから炎のイフリートなど召還できません。」
そう俺が白状してもゾフ王の表情は変わらない。
しばらくして王が口を開いた。
「ハルキゲニア君。村をひとつ焼き払っておいて、それでは済まされんよ。
自分はやっていないと言っても誰も信じない。
事実、トムや護衛の数名が現場で確認している。
たとえ今、村を焼いたことを隠蔽してもいずれ噂は伝わる。
トム王子と側近が仇討のため焼き払ったと。
瞬時に村を焼くことが出来るのは限定召喚士だけだ。」
「しかし王様、私は本当に本当にただの村人であって召喚士などでは、
まして限定召喚士などでは決して・・・」
「くどい!
ハルキゲニア君は今後、ガラス村出身の者から命を狙われる立場になる。
故郷を、帰る村を、焼かれたのだからな。
むろんトムも狙われる。
しかしこれは殺された第一王子の仇討。
やらねばならんことだ。
君には護衛を付けて警護させる。
それは王宮の責任だ。
我慢してくれ。」
玉座の間から出て俺は長い王宮の廊下を歩いた。
廊下の窓からは朝の光がまぶしく差し込んでいて肌が痛い。
夏の海水浴でもこんな強い日光は感じたことはない。
隣で王の側近が今後のことを俺に話しているが聞こえない。
強い光が音をかき消すことは当然のように思えた。
限定召喚士ハルキゲニアの嘘 おてて @hand
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