第2話 寡黙イケメン

 私はA君のことが好きです。A君は同じ塾に通っている超優しくて超イケメンな男の子です。イケメンと言ってもスポーツ系イケメンではなくて寡黙系イケメンって感じです。学校は違うので週に2回ある塾のときにしか会うことはできません。とても悲しいです。


 しかし!今の私は映画のチケットを2枚持っています。映画のチケット、好きな男の子、もう分かりますね?そうです!デートに誘います!というかもう誘いました!今映画館の前で待機中です!


 ちょっと興奮しすぎました。落ち着きましょう。スーハースーハー。よし落ち着いた。強引に誘っちゃったから怒ってるかもしれない。A君を誘ったときも、うんともすんとも言わずにただ頷いただけだった。嫌われたかも...落ち着くと逆にネガティブなことばかり考える。


 ...トントン...


 肩を叩かれました。A君でした。ちゃんと来てくれました。嬉しかったです。でもA君は言葉を発してくれません。私の問いかけには頷くか、首を横に振るだけでした。まあそういうところもカッコいいんですけどね。キャーッ!


 早速2人で映画を見ました。恋愛映画です。付き合ってもないのにこれはキツいかな?と思ったけど、私の愛を直接ぶつけるにはちょうど良いかなって。よくある映画でした。高校生の男女が徐々にいい感じになって...みたいな普通に良い映画でした。


 でもA君の顔は楽しそうな顔ではありませんでした。むしろ軽蔑した目で見る、そんな表情でした。


 デートは失敗。そう言わざるを得ません。計画していたディナータイムをやめて帰ろうとしたとき


 ...トントン...


 また肩を叩かれました。A君はフードコートに指を向けています。一緒に食べようということでしょうか。単純にお腹が減っただけかも。


 食事中も無言でした。周りの雑音が聞こえてくるだけでした。私はこの時に決心しました。今、この場で告白することを。もう今しかない。そんな思いが駆り立てられていました。雰囲気もへったくれもない空間で私は...しました。


 「A君のことが好きです」


 絶対に振られる。そう確信していました。


 「私もあなたのことが好きよ」


 

 

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みんナのニチジョう 七瀬みどり @sa_ra_mi_0_4

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